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    <title>闇の戯言</title>
    <description>since　2008/９/17
ネットの片隅で妄想全開の小説を書いています。ファンタジー大好き、頭の中までファンタジーな残念な人妻。

荻原規子、上橋菜穂子、小野不由美　←わたしの神様。

『小説家になろう』というサイトで主に活動中（時々休業することもある）

連載中：『神狩り』→和風ファンタジー
連載中：『マリアベルの迷宮』→異世界ファンタジー
完結済：『お探しの聖女は見つかりませんでした。』→R18　恋愛ファンタジー
完結済：『悪戯なチェリー☆』→恋愛（現代）
完結済：『花冠の誓いを』→童話
完結済：『変態至上主義！』→コメディー</description>
    <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/</link>
    <language>ja</language>
    <copyright>Copyright (C) NINJATOOLS ALL RIGHTS RESERVED.</copyright>

    <item>
      <title>クロヴィスまとめ</title>
      <description>&lt;div&gt;クロヴィス・エルロンド（clovis Elrond）　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・皆にはあまり知られていないがドラゴン馬鹿&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・スイッチが入るとドSになる&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・基本的には敬語、親しい間柄になると砕けた口調に。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;親しくない｜　「貴殿」「貴方」「君」「お前」　｜親しい&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;こんな感じ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・チェスデレと言わしめるほどにチェス中毒者。どうしようもない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・調教用の鞭を腰に下げている&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・戦場では男も女もなく平等、女子どもが立ち向かってきても容赦しないことが礼儀だと思っている&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・例え友人のヴァレリーだろうが、兄のバルベリートだろうが、対峙しても躊躇わず剣を抜く覚悟は出来ている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・自分のことは二の次。とにかく、パートナーや仲間が助かればいい。アグリア亡命以来、切り捨てられることにたいして、とても鈍感になってしまっている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・ただ、自分がいなくなることで部隊の機能が停止するのは困るため、人材育成にはかなり力を注いでいる。自分なしでもたちゆくような部隊作りを目指している。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;【経歴】&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;０歳　エルロンド家次男として誕生&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;６歳　父からチェスを与えられる&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;７歳～　父に連れられて、騎士団に出入りしていた&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;１６歳　アグリア騎士団入団&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;１７歳６か月　中級騎士昇格&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;１９歳　ヴィオラ死亡、上官暴行罪で１か月の謹慎を命じられる。亡命　　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;１９歳６カ月　イグニア騎士団入団&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;２０歳　中級騎士昇格&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;２１歳　上級騎士昇格　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;現在23歳（今年２４歳になる）　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;【戦いとか】&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;特定の武器は持っていない。状況に応じて、武器は変える。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;強いて得意な武器を上げるとしたら、&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;片手剣＝槍＞弓＞短剣＞両手剣&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;突出して何かに秀でているわけではない。器用貧乏。なのでよく、色々と無茶振りされる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・肉弾戦は得意ではないため、ガチのパワー勝負を挑まれたら多分負ける。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・急所を一撃で狙う。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・奇襲が得意&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;・どっちかっていうと、戦略とか立てて、用兵術を駆使するほうが性にあってると思う。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;【趣味】&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;チェス&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;【家族構成】&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;父：ジョセフ&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;アグリア騎士団の騎士長。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;出奔したクロヴィスと、対ドラゴン用変態のバルベリートに頭を悩ませている苦労性なお父様。自分が他の任務に就いている間に、妻を殺され、クロヴィスも亡命してしまったことを屋敷に帰ってきてから知る。クロヴィスには幼いころから騎士としての英才教育を施し、今後アグリア騎士団を支える人材として手塩にかけて育ててきたのに失ったことで、最初かなり落ち込んでいた。しかし次第にその元凶となったブータンディッケに腹が立ってきて、引退をほのめかされたにも拘わらず居座り続け、いつかブータンディッケとその背後に巣食うものを引き摺りだすまでは騎士を止めるつもりはないらしい。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;兄：バルベリート（２９歳）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;アグリア医療班の部隊長。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;変人というか、対ドラゴン用の変態。ドラゴンしか診たくないが、頼まれれば皮肉を言いつつも人を診ることもある。例え生きていても、助かる見込みのないドラゴンには絶対処置を施さない。それでも卵生む体力がありそうなドラゴンには、薬を与えて卵を産む道具にする。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;ドラゴンに並みならぬ愛情と執着を抱いているが、その方向性が果てしなくおかしいため、クロヴィスからは敬遠されているが、そんなクロヴィスを構って嫌な顔をさせるのが楽しくて仕方がない。ドラゴンの養育について指導したりすることもある。できることなら擬人化なしでドラゴンと性交してみたいとか考えてる。変態変人だが有能で、誰も彼を部隊長の座から引きずり降ろせずにいる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;ドラゴンは道具、その考えを否定はしないが肯定もしない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;亡命したクロヴィスのことは、「そういうことなら仕方あるまい。止めようもないからな」と、お父様にぽろりと言ったとか何とか。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;変人だが、家族のことは大切。未婚。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&amp;nbsp;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;弟：フィリクス（１９）　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;織物師。現在のクロヴィスのチェスの相手。連敗記録更新中。本当にエルロンド家の子かと関係者から疑われるほど、温厚な性格で争いごとは苦手。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;妹：リズベット（１９）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;刺繍師。エルロンド家のお姫様状態で、かなり甘やかされて育ってきた。ドラゴンに対しては、クロヴィスの考え方に近く、家族と生死を共にする、大切な存在であって決して道具ではないと思っている。ブラコンの腐女子。敵味方構わず、騎士たちを掛け算して楽しんでいる。&lt;/div&gt;</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E4%BC%81%E7%94%BB/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81</link> 
    </item>
    <item>
      <title> At the fire festival</title>
      <description>&lt;div&gt;冷たくなった両手にはあっ、と白い息を吹きかける。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　対面に向かって座る兄のバルベリートは、小さく欠伸をしてつまらなそうに外を眺めていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　曇ったガラスを袖で拭い、外の景色を覗き込んだクロヴィスは、そっと息を呑んだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　すっかり雪化粧を纏った町並み。白雪に包まれた町の中を、ゆっくりと進む馬車には、剣を交差させた中に百合の花をあしらった、エルロンド家の家紋が描かれている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　市街地の中心に向かうに連れ、景色は変わっていく。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　それまでは銀世界に包まれていた風景が、ぽつり、ぽつりと家々に篝火が灯り始めた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「バルベリート兄上、あれはなんですか？」　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは初めて見る景色に目を輝かせた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　バルベリートはたいして興味もなさそうに、クロヴィスが視線を向けた方へ一瞬だけ顔を向け、それから目を閉じて答えた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「今日はフラーマの火祭りだよ。知らなかったのかクロヴィ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「はい」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「年に一度、フラーマの町で開催されるのだ。家の前で篝火を焚いて、町の中央広場では櫓に火をつける。櫓には男たちが乗っていて、火を焚きつけられないように攻防戦を繰り広げるわけだ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　火竜の生まれるアグリアでは、年に一度、炎に纏わる祭りが開催される町があった。ガルバス火山にほど近い町、フラーマ。家々には篝火が灯り、街全体が暖色に包まれて、大通りは道行く人の活気で賑わっていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　櫓に火をつけるのは、ガルバス火山で今年生まれた火竜。ドラゴンを相手に、町の男たちが命がけで櫓を防衛する。祭りが最高潮に達したときに、櫓はどのみち燃やされるのだが。命を賭した祭りに、漆黒の鎧を纏ったアグリア騎士団も警護に参加するらしく、バルベリートも参加したことがあるのだという。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　時に死傷者多数、そんな危険な祭りだが、不思議と毎年行われ、中止になる気配はない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　武勇を愛する軍王の膝元だからなのか、軍王の興味が民生に向いていないせいなのかは知らない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そんな面白そうな祭りがあると知っていたら、ヴァレリーだって誘ったのに。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは、頬杖をついて漫然と外を眺める兄に、ため息をついた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　普段は見ることもできないものめずらしい景色に、胸が躍る。バルベリートに断りもせずに窓を開けると、バルベリートが苦々しく言い放った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロヴィス、寒い。窓を閉めたまえ。こうなるのだったら、お前と同伴などするのではなかったよ&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「寒かったらそこの毛布にでも包まっていればいいではありませんか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「まったく、生意気になったものだな我が弟は&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　バルベリートは苦々しく呟いて、綺麗に折りたたまれていた毛布を手繰り寄せて頭からひっかぶった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　大通りに差し掛かったところで、さらに賑やかになる。周辺の町からは行商人やイスタール中を巡り歩く一座が集まる。大陸から取り寄せたという珍しい品物や、金紗、銀紗のヴェールに身を包んだ踊り子たちが火の粉の中で舞う姿は華やかだ。ガルバス火山の麓の町ならではの行事はアグリアでもちょっとした名物になっていて、普段はたたら場と武器の町として名高いフラーマが、一気に観光地に様変わりする。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　火竜との攻防に使われるのは、武器職人が腕によりをかけた、今年一番の名剣である。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　その名剣を決める大会というのも、火祭りが始まる一週間ほど前から開催されており、それぞれ自慢の剣が並べられるというのだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　バルベリートは、そんなことも知らないのか、とクロヴィスを嘲笑いながらも、クロヴィスがあれこれたずねれば逐一丁寧に教えてくれた。クロヴィスは知らないことばかりで、聞けば色々と答えてくれるバルベリートに感心しながら、耳を傾ける。バルベリートはただのドラゴン偏愛者ではなかったようで、一応世間の常識というものを、弟のクロヴィスよりは知っているようだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスの後に続いて馬車を降りたバルベリートは、寒気に身震いをして、毛皮のマフラーを巻きなおし、外套で首元をしっかり覆った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「しかし見たまえ。あの踊り子たち。こんなに寒いというのに、臍を出して&amp;hellip;&amp;hellip;見ているだけで鳥肌が立ってくるようだ。火祭りの前座だろうが、一体だれがあんな下着姿同然の娘を見て喜ぶというのかねえ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「それは、バルベリート兄上は嬉しくなくても、世の中の大半の男は女性の見え隠れする白くてやわらかそうな肌を見て喜ぶのだとヴァレリーが言っていました」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「お前の親友はいつも、実にお勉強になることを教えてくれるな」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　皮肉げに口の端を吊り上げるバルベリートが示した踊り子に、クロヴィスも視線を向ける。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ひらひらとした踊り子の衣装。裾がふんわりと膨らんだパンツに、臍が出るほど丈の短いチュリ。ほっそりとした腰周りは頼りなく、燃えるようなふわふわとした赤い髪をまとめるリボンが、踊りの律動に合わせてふわり、と揺れる。蜻蛉の羽のように薄いヴェールで身を包み、細い腕や足首には金の腕輪や飾りをつけ、飛び跳ね、舞うたびにしゃらん、と涼しげな音が鳴る。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　自分と同じくらいかもしかしたら年下かもしれないような、可愛い踊り子に、クロヴィスの視線は釘付けになった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　くるり、と踊り子がクロヴィスの方を向く。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　少し釣りあがった、大きな蒼い瞳。猫のようにしなやかな動きで、とん、と舞う。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　刹那的に緑と蒼の視線が交わり、少女は花咲くように、にっこりと微笑んだ。一瞬だったが、確かに自分に向けられた笑みに胸が高鳴る。可愛い女の子だった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　何かあげるものはないか、ポケットというポケットをまさぐり、ひっくり返してみるが、踊り子の少女に上げられそうなものは見つからない。出てきたのは銀細工のナイトの駒だけだ。クロヴィスだったら、チェスの駒をもらえば嬉しいが、多分少女が喜ぶものは花とか金とか、きっとそういうものだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　寒さであかぎれた手足は、見ているこちらが痛ましい。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　雪の上でも滑ることなく舞う姿は、たとえ小さかろうが玄人なのだと思わされる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　――と、思っていたら。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「きゃっ！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　それまでにこにこと笑みを絶やさずに踊っていた少女が、雪の上をつるん、と滑って転んだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは目を丸くし、バルベリートは瞬時に少女の細い腕を掴んでいた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「馬鹿なのかね君は。雪の上であんな風に踊っていれば、転ぶのも時間の問題であったよ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　バルベリートは少女の腕を適当に放し、へたり込んだ彼女を嘲るように見下ろした。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「兄上！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「猿も木から落ちるという言葉を知っているか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「え&amp;hellip;&amp;hellip;？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　少女は降りかかった粉雪を払いながら、戸惑いに瞳を揺らす。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「慢心は危険を呼ぶのだ。分かるかね？　それから、その臍はどうにかならないのか？　見ているこっちが寒い」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「これはそういう衣装なんです！　あと、まんしんって何ですか！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「これは失礼、お嬢さん。噛み砕いて言えば、思い上がり、うぬぼれ&amp;hellip;&amp;hellip;といったところだろうか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　バルベリートはその場にしゃがみこみ、裾の膨らんだパンツを捲り上げて、無造作に少女の足首を回した。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「なっ&amp;hellip;&amp;hellip;！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「腫れていないし、可動も問題ないな。痛みもなさそうだし、折れていることはまずなさそうだね。まったく、雪の上で踊るなんて馬鹿な子だ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「兄上、なんて失礼なことを！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは思わず額を押さえ、少女とバルベリートを引き離してから、冷たい雪の上にへたりこむ少女に近寄り、手を差し伸べ、少女が立ち上がるのを手伝った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「大丈夫ですか、どこも打ったりしていませんか？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「大丈夫。ありがとう」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「すみません、僕の兄が失礼なことばかり&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「兄弟なの？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「一応ね」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　苦笑いを浮かべるクロヴィスに、少女はくすりと微笑んだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「一応？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「髪の色は違うけど、目の色が同じでしょう？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そういったクロヴィスの瞳と、バルベリートの瞳を交互に見つめ、少女はうなずいた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「そうね、似てるわ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「それほど嬉しくない言葉もありませんが」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは肩をすくめ、慇懃無礼に立ちすくむバルベリートを見上げた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「私は嬉しいがね。社交界では天使と名高いクロヴィスと、悪魔の異名で敬遠されている私が似ているとは、嬉しくてむせび泣きそうだがね」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　大仰に胸に手をあてて、バルベリートは答えた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「あなたのお兄さん、だいぶ変な人なのね&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　少女の言葉が胸に刺さる。否定できないところが悲しい。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「そうだ！　火祭りが始まる前に、また中央の広場で前座をやるの！　よかったら、見にきてね！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　冷たい手がクロヴィスの手に重ねられる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　にこっと微笑み、そのまま少女はクロヴィスに背を向ける。燃えるような紅い髪が揺れる。最後に振り返って大きく手を振り、叫ぶ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「必ず来てね！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスの目の前を可憐に通り過ぎていく少女の姿を見送って、ぽつりと呟く。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「あんな小さい子もいるんだ&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「小さい？　クロヴィス、お前今いくつだね？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「十三歳です」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「お前も立派に小さい子だよ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「それは、兄上からしたら私もヴァレリーもお守りが必要な小さい子扱いでしょうけどね」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　肩をすくめるクロヴィスに、バルベリートは薄笑いを浮かべて返した。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「お前とヴァレリーを同列にしては、ヴァレリーがかわいそうだがね。まあ私からすれば、ヴァレリーだってお前だって、大して変わりはしない」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「それはどうも」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　むっつりとして返せば、バルベリートは外套を翻し、クロヴィスへと背を向ける。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「こんなところで油を売っている暇はないのだ。いくぞ、クロヴィス」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　このフラーマの町に立ち寄ったのは、父の使いで、刃こぼれした剣を受け取りに来ただけなのだ。クロヴィスはあからさまに大きなため息をつき、むくれて路肩に積もった雪を蹴り飛ばした。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　当てるつもりはなかったが、雪の塊がバルベリートの後頭部に直撃する。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロヴィス！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「あ、ごめんなさい。わざとではありません！　それに、中級騎士の兄様ならそれくらい避けられるかと思った」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「&amp;hellip;&amp;hellip;行儀が悪い子だね、まったく」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ぶつくさ言いながら、バルベリートはクロヴィスの手首を掴んで引き寄せた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「大人しく私の隣を歩いていなさい」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「子供じゃないんですから、手を離してください」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「駄目だ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「どうして」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「手を離せばまたふらふらするだろう、クロヴィ。一応私はお前の保護者だ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「へえ。それは知りませんでした。で、いつまで？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「期限などない。お前がエルロンド家に私の弟として生まれたときからそういう運命だったのだよ。お前の保護者である以上、ヴィオラも私の保護下にある。それだというのにお前ときたら&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは心底嫌そうに顔を顰めた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ヴィオラは関係ないでしょう！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ある。私にとっては大事な問題だ。お前を間に挟まねば、ヴィオラはまるで雪の女王だ。その冷たさがまたいいのだが、ヴィオラに近づくためにはお前が必要だ。だからこれからも私はお前の保護者だ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「&amp;hellip;&amp;hellip;ああそうですか、ご勝手に。もう何もいいません」　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「こちらがお預かりしていた剣になります」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「いつもすまないね」　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　両手を炉にかざして暖を取っていたクロヴィスは、バルベリートが剣を受け取って振り返った瞬間、口を開いた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「火祭りにいこう」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「何故」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「火口ドラゴンの幼竜が見られるなんて、滅多にないし」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「――クロヴィ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　バルベリートが言いかけたときだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　上空を横切る黒い影。鳥かと思ったが、それは一瞬のうちに姿を消す。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「火口ドラゴンが降りてきたー！　祭りが始まるぞー！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　誰かの叫びとともに、大通りに大きなどよめきが起こる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　何事かと店の外をうかがえば、黒光りする鱗に、白い鉤爪。裂けた口から漏れる熱い吐息は硫黄の香りで、陸上をどの生き物よりも早く、雄雄しく駆ける四肢は逞しい。大人と同じくらいの大きさの火竜だった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスの後ろから外を覗き込んだ工房の主人は慌てるわけでもなく、のんびりとした口調で言った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「始まったようですね」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは話も聞かずに飛び出した。火竜を近くで見るのは初めてだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「全く、嫌なタイミングで始めてくれるものだね」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ぼやくバルベリートの声は、クロヴィスの耳には届かない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　雪の路面を駈けて中央広場まで行けば、櫓に五人ほどの男が乗り、その櫓を取り囲むように大人くらいの大きさのドラゴンが二匹、牙をむいて向かっていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　祭りが始まろうとしている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　バルベリートはクロヴィスの後ろにぴったりとくっついて、やれやれと大きくため息をついた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「お前といると飽きないよ、クロヴィス」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E4%BC%81%E7%94%BB/at%20the%20fire%20festival</link> 
    </item>
    <item>
      <title>Of past days</title>
      <description>&lt;div&gt;　しとしとと、糸のように降っていた雨はいつの間にか止んでいた。樹齢数百年の大樹の下で雨宿りをしていたクロヴィスは、晴れ間の除く茜色の空を見上げ、手をかざした。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　濡れた玉葉は輝き、つうと落ちる冷たい滴が薄い唇の上に垂れ、なだらかな顎と白い首筋を伝って消える。瑞々しい緑は、西陽を浴びてますます鮮やかに色づいている。ひとつに括った亜麻色の髪を揺らし、不機嫌そうな二人へと声をかけた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「晴れたみたいだ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「通り雨だったか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　腕を組み、大樹に寄りかかっていたヴァレリーは、額にかかる蜜色の髪を鬱陶しそうに掻きあげた。静かな湖面の底のような碧い瞳が物憂げに空を見上げている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　老若男女問わず虜にして続けている魔性と呼び名の高き彼は、クロヴィスとは付き合いの長い友人だ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;ヴァレリーが騎士団に入団してからは交流が途絶えてしまうかと思いきや、父や兄への入用で何かと騎士団には出入りしており、休日は時折狩りに付き合った。何より、手ごたえのあるチェスの相手といえば、ヴァレリーくらいしか居らず、結局、ヴァレリーとは頻繁に顔を突き合わせている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　連休を勝ち取った、故に久しぶりに狩りに付き合え――そんな書簡が届いたのは、つい先日のことである。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ため息を吐きだし、ヴァレリーは不機嫌そうに柳眉を寄せた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「興醒めだ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「雌鹿を逃したのがそんなに悔しかったのか？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「あれは、絶対この森の女王だった。美しい毛並み、しなやかな肢体。この手で仕留めたかった」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「天の采配だ。諦めろ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　悔しそうに歯噛みするヴァレリーの肩を軽く叩いて、クロヴィスは苦笑を浮かべた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;そのまま、大樹の根元に座り込んだまま立ち上がろうとしないレダを振り返り、クロヴィスは声を掛けた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「レダ、大丈夫か？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「無論だ。私に構うことはない」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　服が濡れて肌が透けてしまったレダの為にクロヴィスが貸した上着を掻き寄せ、レダはぞんざいに返した。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「しかし、酷い目にあったものだ。狩りを続ける気にもならぬ。私は帰るぞ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　立ち上がり、身にくっついた落ち葉と土埃を振り払い、レダは肩にひっかけていた上着をクロヴィスへと押し付けた。生乾きのそれを受け取り、クロヴィスは首を傾げる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「今日は実家に泊まるのか？　服がまだ濡れているだろう。私の上着なら、ヴァレリーか兄にでも返しておけばいい。後で回収する」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「善意だけありがたくいただく。気づかいは無用。&amp;hellip;&amp;hellip;私は寮に戻るつもりだ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　きっぱりと言い切って、レダは馬の手綱を引き寄せた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　明けて次第に白みゆく空と同じ薄紫の髪。冬の空と同じ灰色の瞳。背筋を伸ばした凛として怜悧な佇まいに、つい見惚れる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　古くから騎士の家系たるエーゲシュトランド家とは、エルロンド家もそれなりに付き合いが長い。レダとも、数年来の行き来があるわけだが、何年たっても彼――いや、彼女の隙は見当たらない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスも、父の書斎でレダの名と性別を記した騎士団員の名簿さえ見なければ、レダが女性であるとは気付かなかっただろう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　男にしては少し線が細いと思ってはいたが、クロヴィスとて人のことは言えない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;少年のあどけなさを残すクロヴィスは、未だ、黙ってその辺に立っていれば女と見紛われることもあった。右の目元に色めく泣き黒子。引き締まった伸びやかな四肢は発達途上で、背丈も高いとは言い難い。絹のような質感の亜麻色の長髪は、日常下していることが多く、更にレダと一緒にその辺を歩けば、奇妙な視線を向けられる。最悪、いきなり腕を掴まれ路地に連れ込まれそうになったこともあった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　しかし、仮にも幼い頃より騎士としての教育を受けてきた身だ。素人にどうこうされるほど、クロヴィスも弱くはない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　軽やかに騎乗したレダを見上げ、ヴァレリーは肩を竦めた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ほう。真面目なことで。連休くらい、騎士団から離れたいとは思わないのかね？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「卿はもう少し真面目になれ。私はできうる限り早く上に立って、そのうち卿を顎で使ってやろう」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「それはご勘弁を。私は適度に楽しめればそれでいい」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ヴァレリーは人を食ったような笑みを浮かべた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ふん、卿は一度、カスパル騎士長かジーク上級騎士にでもしごいてもらえば宜しかろう。動けなくなるほどに」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　下級騎士の間で秘かに恐れられる騎士の名を、レダが皮肉めいた口調で上げれば、ヴァレリーはぴくりと肩を震わせた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「またそのような戯言を」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「臆しているのか。ヴィランタン公の御子息ともあろうお方が？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　喉の奥でくっと笑い、レダは手綱を取って馬をゆっくりと進めた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　風に乗って緩やかに流れる雲の群れは、暮れゆく空で黄金に輝いている。辺りに人の気配はなく、涼しげに擦れ合う木々のざわめきと、蜩（ヒグラシ）の鳴き声だけが響いていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「私は先に帰る。クロヴィス、卿は？　お母上も心配しておられよう。途中まで送っていく」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「そんな、年頃の娘でもあるまいし、大丈夫だ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「この間、街を歩いていて路地に連れ込まれたのはどこの誰だ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　呆れた、と呟くレダに、クロヴィスは目を眇めた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「連れ込まれたが、騎士様が助けに来てくれただろう。俺のことを美少女だと勘違いしたどこかの色魔が」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「何だ、クロヴィスの話していた騎士とは、卿のことだったのか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　レダの視線の先には、片手で顔を覆うヴァレリーの姿があった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「言わないという約束はどうなった！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「――そのような約束を交わした覚えは&amp;hellip;&amp;hellip;あるな。いやしかし、実名は出していない」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　納得のいかない表情で、クロヴィスは長い指を顎に当てて俯いた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「実名にどれほどの意味があると！　今の説明で、私だと特定しているようなものだ！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「まあそう怒るな。相手はレダだ。レダの洞察力と推察力ならば、自ずと発覚したことだ。良かったではないか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　悪びれる様子もなく返すクロヴィスに、ヴァレリーは再び顔を覆った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　　◇&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　寮に戻るレダと分かれ、クロヴィスとヴァレリーはなだらかな勾配の続く静かな林道を、馬を並べて歩いていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　先ほどから二人の間には沈黙が横たわっている。しかしそれは、決して気まずいものではなく、むしろ居心地の良いものだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　話したいことは沢山あった気がする。しかし、いざ面と向かうと、特に何もないようにも思える。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ヴァレリーが騎士団に入る前は、しょっちゅう互いの家を行き来していたわけだが、今となってはそれも皆無だ。たまに用事に赴いた時に、ヴァレリーと夜が明けるまで賭けチェスをやる程度で。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロヴィスはいつ見ても小さいままだな」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　唐突にヴァレリーが言いだす。クロヴィスとヴァレリーの身長差は、丁度十五センチ。常にクロヴィスの旋毛が、ヴァレリーからは丸見えの状態である。上から視線を感じ、クロヴィスはむっとヴァレリーを睨んだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「これから伸びる」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「さあ、どうかね」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ヴァレリーは肩を竦め、むきになるクロヴィスを鼻で笑った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「俺はまだ十四だ。成長の余地はある。対してお前は成長期を脱した。今後の発展見込みは皆無だ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「成長したとしても、クロヴィスはこの先も、私よりもチビに違いない」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「あと三年すれば、お前の身長なんてあっという間に追い越してみせる」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「その頃には私ももっと伸びているかもしれない」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ではそこで止まっていろ。とりあえず俺がそこに到達するまで待っていろよ。なんなら地面に埋まっていてくれないか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「無茶を言わないでくれたまえ。さすがの私も、自然の成り行きには逆らえんよ？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　呆れ返った様子でため息をつくヴァレリーは、以前見た時よりも大人びているようだった。クロヴィスの知らない、見えざる世界が、ヴァレリーにはあるのだろう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスがその世界を知る頃には、ヴァレリーはまた別の世界の扉を叩いているだろう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　三年の差がもどかしく、悔しい。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　対等でありたいのに、いつまでたっても下級者として扱われているような気がしてならない。ヴァレリーはそのようなことを、考えて相手をしているわけではないことくらい、分かっているのだが。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　何故、三年早く生まれなかったのだろう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　この差だけは、どう足掻いても埋めることはできない。クロヴィスが今のヴァレリーの視点に立つ頃には、彼はまた一段階上の場所からクロヴィスが追いかけてくるのを、ほくそ笑んでいるに違いないのだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　想像すると実に腹立たしい。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　いいから黙って待っていてくれたらいいのだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　勾配を上がりきって、林道を抜ければ開けた空間に躍り出る。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　正面に連なる霊峰の残雪は、夕陽を照り返して紅に染まっていた。その情景を瞳に焼き付け、クロヴィスは前方の三叉路を見据え、&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「いつか、お前と肩を並べて追い越してみせる」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　呟けば、耳聡くそれを拾い上げたヴァレリーがため息をついた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「私より大きくなるのはやめてくれ。今の身長のままでいいではないか。黙っていれば、実に可愛げがある」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは瞳を瞬かせる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「可愛さのあまり助けてしまうほどに？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ヴァレリーは一瞬固まって、改めてクロヴィスへと視線を移した。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「&amp;hellip;&amp;hellip;怖いから何とか言ってくれ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロヴィスは、成長しない方がいいのではないかね」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「何故？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「大人の世界は汚いぞ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「は？　そんなの、分かり切っているだろうに」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ヴァレリーの言わんとしていることが分からず、クロヴィスは首を傾げた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　貴族として生まれ。大人の汚い部分を多々目撃してきた。交渉。駆け引き。取引。時には我が子さえ道具に、舌戦を繰り広げる貴族。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　派閥争いとは無縁の中立を貫くエルロンド家も、時にその舞台に引きずりだされることもある。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「分かっている、ねえ&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　三叉路までたどり着き、クロヴィスは馬の手綱を操り、鼻面の向きを変える。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　この三叉路が、丁度、ヴァレリーとクロヴィスの屋敷への分かれ道だった。馬の腹を軽く蹴り、歩みを進めればヴァレリーが不思議そうに、背後から声をかけた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「どうした。何故そっちの道へ行く。こっちだろう」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは立ち止り、ヴァレリーを振り返った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　何か間違えたのか、と三叉路と、ヴァレリーと、己の進むべき道を順に見つめる。何もおかしなところはない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「私の家はこっちだろうが」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　さも、当たり前のように言われ、クロヴィスはきょとんとヴァレリーを見つめた。澄んだ碧眼は、ただ純粋に、クロヴィスの進むべき道について疑問を感じているようだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは立ち止り、とりあえずヴァレリーを凝視する。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「どうした。何故立ち止る」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「&amp;hellip;&amp;hellip;いや。悪い。何か、面白くて」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「何か面白いことでもあったか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　無自覚に言ったのか。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスはついにこらえ切れなくなり、茜の空に向かって笑いだした。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「そういう言葉は、俺ではなく付き合っている相手にでも言ってやれ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　その言葉で、ヴァレリーは自らの発した言葉のおかしさに気付いたのか、苦々しく眉間に皺を寄せて、そして両手で顔を覆った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「今のは、なかったことにしてくれ。お前、家に来るって言わなかったっけ？　言ってない、そうか言ってないな！　じゃあチェスでもするか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「行くぞ！　早く来い！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　チェスの言葉につられたクロヴィスは、ヴァレリーよりも先に駆けだしていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ーーーーーーーーーーーー&lt;br /&gt;
ドラゴンと騎士企画より&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
一部のキャラクターをお借りしています。&lt;br /&gt;
登場人物：レダ、ヴァレリー、クロヴィス&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
クロヴィスとヴァレリーは友達同士でした（過去形）。&lt;/div&gt;</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E4%BC%81%E7%94%BB/of%20past%20days</link> 
    </item>
    <item>
      <title>Encounter</title>
      <description>&lt;div&gt;一度目に出会った時は、まだほんの小さな頃で、ぼんやりとしか思い出せない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　亜麻色の髪の、フィアフィルの麓に広がる深い森に似た、優しい目をした人間の子供。どこか幼さを面影に残した少年は、母の半身とも言うべき存在だった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　母は生まれた頃から少年と共にあり、少年と同じ時を過ごした。姉のように、妹のように。大きな翼で少年を守り、少年と共に幾多の戦場を駆けた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　彼の名前は――&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　二度目に会った時は、フィアフィルの山中だった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;深々と積もる真雪の中、頼るものもなく、彷徨っている時のことだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;時々、何の前触れもなく荒々しい集団が現れては、血相を変えて山脈中を歩き回っていた。その手には、様々な武器が握られている。剣、槍、弓。母が過ごした場所では、珍しくもないその武器だが、錆ひとつない、鈍い光をたたえるそれが、幼竜には恐ろしく思えた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　人に慣れ、警戒心を持たない同族の竜が近付けば、彼らは透明な瓶から、怪しげな薬を取り出し、竜へと降りかけた。途端に竜はのたうちまわるように苦しみ出して、木々をなぎ倒し、地面を抉ったあとで、ぱたりと大人しくなった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そして、次の瞬間には何事もなかったかのように、彼らに首を垂れていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　如何に人に慣れているとはいえ、簡単に生涯の半身を決めたりはしない――&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　誇り高き、霊峰フィアフィルに息づく竜の言葉だ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　自らが認めた者にしか、首は垂れぬ――&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　母は、少年を誇りに思っていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ぼんやりと思いだした教訓と、目の前の光景は全くもって繋がりを持たなかった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　半身を得ることは、もっと、楽しくて、幸せなことだと幼いながら思っていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　楽しそうには見えない。ただひたすら、苦しみを与えられるだけ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;彼らの前に、出て行ってはいけない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;幼竜は、金色の瞳を瞬かせた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そんな日々が、延々とこれからも続いていくのだろう、幼いながらも、竜は漠然と考えていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　しかし、転機は突如訪れる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　身も心も凍えるような、霊峰フィアフィルの山中で、この世の絶望を知ったような顔をした、人間たちが現れた時のことを今でも鮮明に覚えている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　幼竜は、それがあの少年だと一瞬で気づいた。同じ匂い、同じ目をしていた。ただ、あの頃よりも少し大きくなっていて、優しかった目が今ではその光を無くし、曇っていることだけが竜を躊躇わせた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　しかし、その手に握られているのは剣ではない。少年は唯一、武器を手にしていない者だった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　奪いに来たのではない、竜はほっと尻尾を垂らした。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　武器を持たない代わりに、彼はなぜか、両手で抱える程度の大きさの、木を丸く加工した、不思議な道具を背負っていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　幼い竜は見たこともないそれに、一瞬で心を奪われる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　夜、狂い咲くような月の下、辺りが静寂に包まれる頃。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　何の警戒心を抱かず、ひょこひょこと青年に近寄ると、脇に置かれたそれに、そーっと触れてみた。弓形に張られた糸のようなものが三本。爪で弾く。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　聞いたことのない、変な音がした。それが面白くて、青年が寝ているのも忘れて、夢中で音を掻きならした。はじいたり、たたいたり。しかし出る音は、やはり変だ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　はしゃぐ幼竜に、さすがの青年も眠っていられなかったようで、苦笑を浮かべつつ起き上がる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ヴァイオリンが珍しい？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　竜が首を傾げると、彼は眉根を寄せ、目を眇めた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ヴィーと同じ反応だ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　どこか苦しいのか。痛いのか。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　泣きそうな顔で、竜の頭を撫でる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;――その手は、ひどく温かい。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「こんなものに興味を示すなんて、お前、変わっているな。そうだ。それじゃあ、一曲聴かせてあげようか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そう言って、彼は弓を取り出した。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　彼が奏でる音は、不思議と心地よい。竜が奏でた、不協な音ではなくて。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　その音色を子守唄に、竜は久しぶりに穏やかな夜を過ごした。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　あくる日。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　青年は、竜を無理やり従えようとしている一団に目をとめた。最近は連日のように現れるやつらは、今日も山脈の竜を狙って、服従の薬を使おうとしているようだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　青年は剣を取る。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　その剣は、竜が見てきたどんな剣よりも、美しく、気高かった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　竜を従えることに夢中な奴らは、青年の存在に全く気付いていないようだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　青年は、気配を殺し、雪の上を滑るように、彼らの背後へ忍び寄る。雪の中に埋もれ、ことの成行きをじっと見極める幼い竜は、彼が通り過ぎた瞬間に、鱗がぞわりと波立つのを感じた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　怒っている。肌で感じるほどの激情に、幼竜は目を瞠る。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　青年は迷いのない太刀筋で彼らを切りつけると、虫けらでも見るかのような目で、やつらを見下ろし嘲るように呟いた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「実力主義、か。笑わせてくれる。力を持たぬもの故、服従の薬に頼ったか。いや、ある意味&amp;hellip;&amp;hellip;それも実力か」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　斃れた肉塊を足蹴にし、薬入りの瓶をたたき割る。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ヴィオラは――ドラゴンは、貴様らの玩具ではないというのに&amp;hellip;&amp;hellip;。勝てれば、本当に何でもいいのか」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　幼竜は、瞳を瞬かせた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　――ヴィオラ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（おかー&amp;hellip;&amp;hellip;さん）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　その名に誘われるように、雪の中から這いだした。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　突如現れた幼竜に、青年は驚いたようだが、幼竜は興味深く、彼の姿をじっと見上げた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　よく見ると、傷だらけである。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　曇りなき眼に見つめられ、青年は苦笑を浮かべた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「お前も、こんな人目につきやすい場所にいては駄目だ。すぐに狩りの対象にされてしまうよ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そういって、優しく幼竜の頭を撫でると、彼はすぐさま踵を返した。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　雪上に置いた荷物を取り上げ、少年と少女を連れて、山を登っていく。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（また、置いていくの？）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　嫌だ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（待って）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　行かないで。もっと&amp;hellip;&amp;hellip;知りたいの――&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　もっと、聞かせて。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　名前を呼ばなくては。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　名前を呼んで、引き留めないと。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　しかし、彼の名前を忘れてしまった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　止むなく、鉤爪で襟首を掴んで、ひきとめる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;振り返る青年は苦笑を浮かべ、寂しそうに鳴く竜の頭を軽く叩いた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　その手に頭をすりよせれば、不思議なことに安心できた。自然とわきあがる名前を、声に出してみる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロビー&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「え！？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロビー？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　驚きに目を瞠る。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　やっと発音できたのは、それだけだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　彼の名前は、クロヴィス。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　かつて、母の半身だった人。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　これからは多分、自分の半身になるべき人。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　竜はクロヴィスへ首を垂れた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　パートナーとして、認めた徴だ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「&amp;hellip;&amp;hellip;もう一度ドラゴンに乗っても、いいのかな」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは、泣き笑いのような顔をして、雪の中で反射する深紅の身体を撫でた。竜にはクロヴィスの言葉の意味するところが分からなかったが、尻尾を軽く振ってこたえた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　この時、アリアという名前をもらう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　理由はなんでも、Ｇ線上のアリアをきっかけにくっついてきたから、だそうだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　単純明快な理由だ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そんな竜は今、戦場を駆ける竜となった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「ごめんねアリア。今日もまた、戦わないといけない」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　銀の鎧を身につけたクロヴィスが、アリアへこつん、と額を寄せる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスを待つ、狙撃隊の二クスがあくびをこらえてそのやり取りを見ていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（アリアは大丈夫だよ。クロヴィスのためなら、何でもできるよ。クロヴィスを守るためなら、頑張るよ）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;アリアは、クロヴィスの言葉は理解できても、うまく返せない。発することができるのは、覚えた人の名前と、簡単な単語のみである。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　時々、とても悲しそうな顔をする片割れを、アリアは黙って見守ることしかできない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（どこか痛いの？　どこか苦しいの？）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　――アリアが、クロヴィスの痛みを全部引き受けてあげられたらいいのに。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　アリアの思いは、届かない。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　「人の言葉なんて覚えなくてもいい」、そう言ったのはクロヴィスだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　人の勝手な都合で、アリアが言葉を覚える必要なんてない。アリアが覚えたいと思うのなら、覚えればいい。無理強いはしないよ――&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　優しく頭を撫でて、クロヴィスはアリアに言う。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは優しくて、好き。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　アリアが寂しくてないた時は、任務の最中でも一晩中隣にいてくれた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　アリアが初めての飛行訓練で怖気づいた時は、安心するまで背中を撫でてくれた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　アリアもクロヴィスの背中を撫でて元気づけてあげたいが、鉤爪が鋭すぎて逆にクロヴィスを傷つけてしまう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスが寂しそうにしている時は、背中を押して他の騎士の中に入れるが、それもなぜか逆効果だった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（アリアがクロヴィスに与えられるものは、何？）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「敵の補給路を断つ、奇襲作戦だ。気を引き締めて行くよ、アリア」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスがアリアにまたがり、号令とともにアリアは翼を広げて飛び立つ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　今日も、クロヴィスと共に、同じ景色を見られる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;それが、アリアの幸せだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ーーーーーーーーーーーーーー&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ドラゴンと騎士企画より&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E4%BC%81%E7%94%BB/encounter</link> 
    </item>
    <item>
      <title>Everyday of Aria and Clovis</title>
      <description>&lt;div&gt;日常&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;午後の陽射しは次第に濃くなり、僅かに窓から吹き込む風が心地よい。横目でちらりと外を見れば、狭い室内にいるのが馬鹿馬鹿しく思えてくるほどに、清々しい群青が広がっていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　空に浮かぶ雲は白く輝いて、クロヴィスは目を眇めてその様を眺める。その雲を突き抜けるようにして聳える峰の頂には、夏の今でもなお、白雪の影が残っていた。いつもならば、稜線が遠目にぼんやりと浮かぶ程度にしか望めない霊峰フィアフィルが、ここまでくっきりと姿を現すとは珍しい。あそこでアリアと出会ったのを思い出し、つい感慨にふける。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　アリアの翼があれば、彼方のフィアフィルでさえ、瞬く間にたどり着く。クロヴィアを乗せていない時のアリアが全力で飛ぶ姿は、深紅の閃光のようで、美しかった。黄昏の中を低速で飛ぶ姿は舞うようで、アリアの紅と薔薇色の空が溶けあい、それもまた心を奪われる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（いい天気だ）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　現実逃避しかけたところで、クロヴィスは頭を振った。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　今の状況に集中するべきだ。クロヴィスの目の前に座るのは、今年下級騎士になったばかりの、真新しい白い騎士服に身を包んだ新人騎士達十五名。年齢層はまばらで、上は三十、下は十くらいだろうか。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　己が騎士団に入りたての頃を思い出す。その時は、ここではなく、ここと敵対関係にある場所で、騎士になった自分を誇りに思っていた。昔のことである。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　動物調教用の、40㎝ほどの長さの黒い鞭を手持無沙汰に弄び、クロヴィスは話しを続ける。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「人間の急所がいくつかあるのはご存じでしょう。首、頚椎、胸、右腹部上方、両側背部、上肢、下肢&amp;hellip;&amp;hellip;。特に胴体は心臓、肝臓、腎臓などの急所が集中しており、的も広く狙いやすい。肝臓、腎臓には多くの血管が集まっているので、損傷すれば大量出血を起こし、生命の危機に直結します。敵の情報を引き出したい時には――」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　彼は優雅に、机と机に挟まれた、狭い講堂の通路を歩いた。クロヴィスの重みで、ぎしり、と床が軋む音がする。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　昼飯を食べ、丁度腹も膨れた頃に机上の理論を延々と聞かされ、彼らの大半は、瞼が重くなり始めていた。クロヴィスの折角の美声も、もはや子守唄と同じ効果を発揮しているらしい。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（仕方ない&amp;hellip;&amp;hellip;とはいえ、これは酷い）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　確かに、つまらない話かもしれない。単調な口調で語られては、眠くなって当たり前だろう。だが、こちらも貴重な時間を割いて教えに来ている。眠っていて何も学べませんでしたでは困る。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　とろんとした目で船を漕いでいるものの机を、手にしていた鞭でピシっと叩く。叩かれた騎士は、反射的に涎の垂れた顔を勢いよく上げた。クロヴィスの木漏れ日の瞳と視線がぶつかると、頬を染め、気まずそうに教本で顔を隠した。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは片眉を上げ、薄い唇を釣り上げた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（一応、恥じらいはあるのか）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「いいですか。君たちは騎士です。涎を垂らしていようが、夢の世界に旅立とうが、それだけは変わりません。騎士である以上、戦わなければなりません。食欲が満たされ、睡魔が君たちを誘惑しようと、それに打ち勝って、目の前の相手を倒すことに全力を注がなければなりません。戦場ではひとりの行動が、全員の命を危ぶませ、全員の命を救います。今ここで、君たちが眠ったところで、現状、何かが起こるわけではありません。しかし、戦場ではひとりが眠ったことで、全滅することなど珍しくない。私が今ここで教えているのは理論です。理論などつまらない――君たちはきっとそう考えているでしょう」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ゆっくり講堂内を歩き、眠りに落ちそうな騎士の机を、鞭で叩いて回る。そのせいか、クロヴィスが通るたびに、下級騎士の間に緊張が走るようだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「その通り、理論は実践してこそ意味あるもの。その理論を知らなければ、実践しようもないわけですけれどね」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　口元に笑みを張り付けたままあたりを見渡す。その緑の瞳はどこか冷たく、皮肉気に騎士達を映していた。冷たい視線を向けられて、彼らは固まってしまう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　また、やってしまったか。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　空気が冷え冷えとし、場が固まってしまったその時である。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロ、しごと。アリア、まってる」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　寂しそうなアリアの声が隣の騎士寮の中庭から響く。ちらりと外をのぞきこめば、書類を抱えたミュリエルと何やら話している。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　すると、ミュリエルはポケットから綺麗な銀色の包み紙に包まれた、お菓子を取りだし、アリアにあげていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（アリア&amp;hellip;&amp;hellip;本当にごめん、ミュリエルもごめん）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは内心謝りつつ、話しを続ける。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「私のパートナー、アリアは、理論を学ぶのが嫌いでして――」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　本来ならば、クロヴィスも今日は非番だった。偵察の任務を終えたばかりで、ようやく掴んだ休暇であったのだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　久しぶりに、アリアとカートライドの泉に行く約束をしていたのに、急遽仕事が入ってしまったのだ。今日指南を担当するはずだった騎士が、補給部隊に駆り出されてしまったため、代役を頼まれたのだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　白地に金の飾りのついた騎士服に袖を通すクロヴィスを、アリアは不思議そうな眼で眺めていた。きっと、『遊びに行く約束をしたはずなのに、何故クロビスは仕事の服に着替えているのか分からない』と思っていたのだろう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　アリアは、人語は解するが、話せない。話せても簡単な単語と、人の名前を言えるだけである。クロヴィスも、アリアへ人語を話すことを強要しない。アリアが話したかったら、人の言葉を話せばいいし、話せなかったらそれでもいい。何より、フローレンスがいる。困ったら彼女を頼ればよいだけの話だ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　アリアに背を向けるクロヴィスへ、アリアは甘えるように『クロビスー』と呼びかけ、軽く頭を押し付けてきた。そして長い尾をぶんぶん振り回して、乗れと言わんばかりに主張してきた。早く泉に行きたくて仕方なかったのであろう。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そんなアリアに、仕事が入ったと告げるのは、大変心苦しかった。しかも、アリア同伴の仕事ではない、机上の講義である。アリアはしゅんと背中を丸め、クロヴィスに言われるがまま、騎士寮の中庭で待つことになった。申し訳ないと思いつつも、アリアならば他のドラゴンと仲良く遊べるだろう、他のドラゴンが寄ってきてくれれば自分もそのまま遊ぼうと、クロヴィスはそのまま仕事に向かったのだ。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　心を鬼にして仕事に来たのはいいものの、騎士寮の中庭にぽつんと佇み、講堂を見上げてくるアリアが視界にたびたび入ってきていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　いつものうるさいくらいの人懐っこさはどこへいったのか、騎士寮からイルとジーク騎士長が出てきても、アリアは興味を示さずに、ずっとクロヴィスのいる建物を見上げていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（こうなったら、さっさと終わらせるしかない）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　パートナーのドラゴンのことが絡むと、人が変わるクロヴィスである。表面上は冷静なまま、クロヴィスの脳内は既にアリアと遊ぶことで一杯であった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　仕事を終え、中庭に急げば、人型になったフローレンスが、アリアの隣にしゃがみ込んでいた。アリアの興味はクロヴィスではなくて、フローレンスへ向いてしまったらしい。心中、複雑な思いで近寄れば、アリアは地面に何かを刻みつけていた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロビス、アリア」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「そうそう、アリア上手です」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「アリア？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　声をかければ、アリアがうれしそうに振り返る。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロビス！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　尻尾をぶんぶん振り回し、アリアは空に向けて軽く炎を吐きだした。うれしさのあまりの行動だろうが、上空を飛んでいたノルニルが突然の炎のブレスに驚いている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「良かったですね、アリア。あ、クロヴィスに見せてあげたらどうですか？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　そう言って、アリアが見せてくれたのは、泥の塊を団子状に丸めたものだった。何となくいつもクロヴィスが与える焼き菓子に似ている。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「はい」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　何かを期待しているのか、アリアはじっとクロヴィスを見下ろしてくる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　いくらアリアのことが大切でも、さすがに泥は口に入れられない。クロヴィスの額に冷や汗が滲む。数秒考えた後に、アリアの作ったものならば泥だんごだろうと構わない、と手を伸ばすが、そこですかさず、フローレンスが止めに入ってきた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　アリアは小首を傾げ、目を瞬かせ少し考えてから、合点がいったようだ。のそのそと退くと、得意げにそれを見せてくれた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;（&amp;hellip;&amp;hellip;？）&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　地面に『クロヴィス・アリア』とミミズの這ったような字で書かれたところに、歪なハートと三角形が描かれている謎の印だった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　一瞬、何かの呪いかと慄いたが、当のアリアは金色の瞳を輝かせて、クロヴィスの背中に頭をすりよせてくる。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「アリア、これは何？」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「クロビス、アリア、いっしょ！」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;「当然だろう？　ずっと一緒だよ」&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　クロヴィスは、先ほど指南を担当していた下級騎士達が見たら間違いなく、『誰だ、お前』と言われるような眩しい笑みを浮かべ、アリアの頭を撫でた。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　後でフローレンスに聞いたところによれば、あの呪いに似た謎の印は、相合傘とのことだった。&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;　ミュリエルが冗談で地面に描いていったものに興味を示し、真似たのだという。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
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&lt;br /&gt;
ドラゴンと騎士企画より&lt;br /&gt;
登場人物：クロヴィス・エルロンド、アリア&lt;/div&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E4%BC%81%E7%94%BB/everyday%20of%20aria%20and%20clovis</link> 
    </item>
    <item>
      <title>捕虜移送</title>
      <description>　白刃が鋭く空を切り、騎士の喉元を切り裂いた。銀の鎧は、血飛沫を浴びて鈍く光る。絶命の声を上げる間もなく、それは崩れ落ちた。&lt;br /&gt;
　背後から切り掛かってきたアグリアの騎士を切り伏せて、クロヴィスは改めて状況を観察する。&lt;br /&gt;
　既に、勝敗は決したも同然であった。レモラ要塞の部隊はほぼ全滅、捕獲した騎士は皆縄をかけられ、一か所に集められている。ささやかな抵抗が続いているが、すでに要塞としての機能は失われている。&lt;br /&gt;
　そこここで発ち上る黒煙と、肉の焦げた匂い。咽かえるような香りが、要塞内部には充満していた。強化したブレス攻撃が、見張り台を焼き尽くし、城壁を無残に破壊する。ドラゴン同士の激しいぶつかり合いで、胴体から血を流した味方ドラゴンと、翼の折れ飛べなくなった敵のドラゴンが、城壁の隅で蠢いている。&lt;br /&gt;
　思いもよらぬ奇襲をかけられ、混乱状態に陥る要塞に、追い討ちをかけるように、イグニア軍の援軍が到着する。要塞制圧のためにあらかじめ増援を要請しておいたのだ。 　レモラ陥落も、時間の問題であろう。&lt;br /&gt;
　そういえば、ニクスは無事逃げられただろうか。彼の見事な一手があればこそ、奇襲成功の筋が見えたわけで。 　&lt;br /&gt;
　またどこかで落ちているわけでもあるまい。接近戦に弱いニクスのために、下級騎士二人もつけた。 　&lt;br /&gt;
　まあ、逃げ足だけは速いニクスである。落ちたとしても、彼ならばどうにかなるだろう。仮に全く地理に詳しくない場所に落ちたとしても、ニクスならば、そのうちひょっこりと帰ってきそうなものである。&lt;br /&gt;
&amp;nbsp;　帰ったら、ノルニルには礼を尽くそう。ニクスに射殺されそうだが。 　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　クロヴィスは、開けた要塞中央部へとアリアを誘導し、兵器をそっと下ろさせた。アリアは金色の瞳を瞬かせ、クロヴィスの背中をつついた。&lt;br /&gt;
「クロビス、これ」&lt;br /&gt;
「良く頑張ったね。いい子だ」&lt;br /&gt;
　先ほど飛行中に、アリアの翼に矢が掠めたが、幸い、どこも怪我はしていないようだ。安堵して、アリアの角を撫でると、アリアはうれしそうに瞳を細めた。大きな尻尾を振り、甘えるようにクロヴィスの胸に擦り寄る。&lt;br /&gt;
「アリア、いい子」&lt;br /&gt;
「&amp;hellip;&amp;hellip;っ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アリアを労っていたクロヴィスの側面上空から、急降下してくるドラゴンの影があった。薄紅の翼は傷つき、降りるというより、墜ちると言った方が正しいか。手綱をしっかりと握りしめた騎乗者を背に、ドラゴンは地面に激突する。 　&lt;br /&gt;
まずドラゴンがよろよろと起き上がり、咄嗟に上空に回避したアリアを追う。蛇行飛行する敵のドラゴンをおちょくっているのか、アリアは三回転半捻りをしながら急下降して、ドラゴンへ強化ブレスを吐き出して燃やしつくした。クロヴィスが乗っていないせいなのか、見ているだけで内臓がよじれそうな無茶な動きをしている。もはや遊んでいるとしか思えない。&lt;br /&gt;
　舞い上がる土煙に視界が遮られるが、クロヴィスへ向けられた敵意だけは、隠しようがない。&lt;br /&gt;
　風圧で土煙を振り払うほど、鋭い突きが繰り出された。素振りをやりこんでいるのか、基本に忠実な綺麗な突きだ。ただ、惜しむべく力不足のようで、一撃が軽い。&lt;br /&gt;
　クロヴィスの腕を掠めたその切っ先を振り払い、胸当てに強い衝撃を与え、地面に叩きつけた。&lt;br /&gt;
「既に勝敗は決している。無駄な抵抗はやめ、降伏しろ」&lt;br /&gt;
「うっ&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
　冷たく言い捨て、改めて相手の顔を認める。&lt;br /&gt;
　土を舐めてもなお、アイスブルーの瞳が気丈にクロヴィスを睨みあげていた。&lt;br /&gt;
「良い目をする」&lt;br /&gt;
　下級騎士と上級騎士とでは、力の差は歴然としている。それでいて、なお向ってこようとする姿は、好ましくもあった。向上心があるのだろう、将来、良い騎士になるに違いない。&lt;br /&gt;
「&amp;hellip;&amp;hellip;まだっ！　私は、まだ&amp;hellip;&amp;hellip;戦える！」&lt;br /&gt;
　呻き、地に転がるバトルアックスを軸に、華奢な身体を支えて立ち上がる。クロヴィスは片眉を跳ねあげた。&lt;br /&gt;
「私は、ミシェル・ベルナール！」　&lt;br /&gt;
　凛として名乗りを上げ、ミシェルは体を撓らせ、バトルアックスを振り下ろした。&lt;br /&gt;
　剣よりも斧の扱いの方がなれているのか、迷いなく、クロヴィスの身体を守る鎧狙い、それを破壊しようとしてくる。斧を横に、薙ぎ払うように振るい、クロヴィスを追い詰めた。 　&lt;br /&gt;
先ほどのぎこちなさはどこへ行ったのか、斧を手にしたミシェルは強かった。クロヴィスの剣を受け流し、繰り出す一撃は鋭い。間合いを取り、クロヴィスは冷静にミシェルの動きを観察した。手負いであるにも拘わらず、剣を扱っていた時よりも、格段と動きは良くなっている。 　&lt;br /&gt;
次々と繰り出される攻撃に、クロヴィスは無意識のうちに口の端を釣り上げていた。 　&lt;br /&gt;
もし、ミシェルが今ほど傷つき、疲弊していなければ――そう考えると、自然と背中に冷や汗が滲む。妹と同じ年頃の娘に劣ることはないにせよ、正面からの力勝負は不得手だ。それこそ、斧ごと粉砕できそうなイルにでも任せておけばよい。&lt;br /&gt;
　だが、勝ち筋はある。&lt;br /&gt;
（一撃の後の隙が大きい）&lt;br /&gt;
　ミシェルの重い一振りを飛びのきかわせば、バトルアックスは空を切り、深く地面に突き刺さった。クロヴィスは甘くなった脇に剣を滑り込ませ、刃を首元へ突き付けた。&lt;br /&gt;
「覚えておこう。ミシェル・ベルナール」 　&lt;br /&gt;
そして剣の柄で鳩尾へ強い衝撃を与えると、ミシェルは今度こそ、力なく倒れた。&lt;br /&gt;
　頭が地面に激突する前に、クロヴィスは彼女の体を支え、横たえた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（ベルナール&amp;hellip;&amp;hellip;。どこかで、聞いたことのあるような名だ） 　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
鎧を外し、抱きあげれば、驚くほど軽かった。男の筋肉質な身体とは違い、しなやかで、柔らかな身体だ。あれほど気丈に向ってきた彼女が、ひとたび鎧を脱いでしまえばこんなにも無防備なのだ。&lt;br /&gt;
雪のような白い肌。長い睫毛に覆われた形のよいアイスブルーの瞳は、今は静かに閉ざされている。さらりと流れる艶のある黒髪と、細い首筋。力を込めれば、簡単に折れてしまいそうだ。&lt;br /&gt;
　それなりの覚悟を持って戦場に立つ以上、男であれ女であれ、同等だと考えるクロヴィスでも、不意打ちのように女性を意識させられると、倒した後味の悪さがじわりと押し寄せてくる。 　&lt;br /&gt;
しかしミシェルは、なかなかに鍛えがいのありそうな、骨のある人材だ。ミシェル自身も、一見向上心に溢れているように見える。 　ただ、現状では昇格を狙うのは難しいだろう。&lt;br /&gt;
　彼女の上官が誰なのかは知らないが、うまく騎士たちの力を引き出せていないように思える。むしろ、どんなに欠けても代わりはいる、そんな手駒扱いしているような気がするのだ。&lt;br /&gt;
　まるで、あの豚上官――ブータンディッケのように、未来ある騎士達を使い捨てているかのようで。 　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
逡巡していると、自軍の伝令が視界に飛び込んできた。&lt;br /&gt;
「クロヴィス上級騎士、お取り込み中申し訳ありません。連隊長からの伝令です。捕虜を連れ、トリスティス砦へ向かい、そこで先遣隊と合流せよとのことです」&lt;br /&gt;
「では、その兵器は？」&lt;br /&gt;
　秘密裏に開発、運用されようとしていた兵器である。アグリア側もそう易々とイグニア側へ情報引渡しをしないはずだ。現に、レモラ要塞の幹部は、敗色濃厚となった状況下におかれても、要塞の内部に立て籠り、明け渡そうとはしなかった。 　その兵器の処遇をどうするだろうか。&lt;br /&gt;
　クロヴィスが投げかけた疑問の答えは、背後から返ってきた。増援に駆けつけた連隊の隊長である。&lt;br /&gt;
「ここからは我々の仕事だ。交渉は君の仕事ではない。御苦労だった、クロヴィス上級騎士」&lt;br /&gt;
「&amp;hellip;&amp;hellip;了解」&lt;br /&gt;
　上官に言われたのでは従うほかない。　&lt;br /&gt;
　クロヴィスは、脱力しきったミシェルの身体を肩に担いで、アリアに騎乗した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　空は次第に白んでいき、彼方の霊峰フィアフィルの稜線が、ぼんやりと浮かび上がっていた。 　&lt;br /&gt;
クロヴィスは、騎馬隊とドラゴン騎乗騎士からなる小隊を率いて、アグリア国境付近に構えられた、イグニア領トリスティス砦へと進行する。&lt;br /&gt;
　トリスティスは、防衛の要所として構えられた、イグニアの前線を支える砦のひとつだ。 　&lt;br /&gt;
下級騎士であるミシェルは、それほど多くの情報を所持してはいないはずだ。 　&lt;br /&gt;
最初に対峙したあの時、ミシェルは兵器について何も知らなかった。&lt;br /&gt;
　拷問するまでもないだろうと判断し、賊を囲う牢獄へ、気絶したままのミシェルも送り込んだ。 　&lt;br /&gt;
途中で目を覚ますかと思えば、遂にミシェルはトリスティス砦に到着するまで一度も目を覚まさず、健やかな寝顔をクロヴィスに見せてくれた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　捕虜から没収した得物は、衛兵がまとめて管理している。よくもまあこんなに身体の中に仕込めたものだ、と感心するほど、次から次へと武器が出てくる。 　&lt;br /&gt;
クロヴィスが移送してきた捕虜の他にも、各戦地から、一旦このトリスティスに運ばれ、上級騎士以上は尋問に掛けられるらしい。&lt;br /&gt;
　クロヴィスに与えられた任務は、捕虜の移送。役目はここで終わりだ。 　しかし、長時間の飛行でアリアも疲れている。連続の任務で、クロヴィスの体にも疲労がたまり始めていた。アリアは任務中ゆえか、おかしを強請らず大人しくクロヴィスに従っているが、おそらくそろそろ集中力も切れてくる頃だろう。 　&lt;br /&gt;
冷たい石壁に凭れかかり、チェスの駒を弄ぶ。クロヴィスは牢屋へと続く階段を見つめた。 　&lt;br /&gt;
ミシェルは目を覚ましたころだろうか。&lt;br /&gt;
　ミシェルが、アリアを見上げた時の目が、何故か脳裏を過る。&lt;br /&gt;
　気丈な態度でイグニアの騎士たちを睨み上げる一方で、空を飛ぶアリアに、少女のように瞳を輝かせて魅入られているようだった。畏怖と憧れ。それがない交ぜになったような、輝かしい瞳。&lt;br /&gt;
　ドラゴンが好きなのか。憧れているのか。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　状況も弁えず、クロヴィスは密かに口の端をあげる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ミシェル・ベルナール。どこかで聞いたことのある名前だと思ったら。 　&lt;br /&gt;
当然なのだ。&lt;br /&gt;
　エルロンド家も、代々騎士の家系。歴代団長は、把握している。 　&lt;br /&gt;
ベルナール団長閣下のことも、話には聞いていた。 　&lt;br /&gt;
ミシェルはエルロンド家のことを知らないだろうが。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　そんなに、ドラゴンが好きか。&lt;br /&gt;
　ならば、早く上にあがってくればよいのだ。&lt;br /&gt;
　ただ、今の環境では、彼女が昇格するのは、やはり難しいのだろう。しかるべき戦果をあげられる場でなくては&amp;hellip;&amp;hellip;。&lt;br /&gt;
　ナイトの駒を弄び、格子から差し込む朝日をぼんやりと眺め、クロヴィスは瞳を閉じた。 　帰ったら、アリアの好きなお菓子をあげよう。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　了&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
【ドラゴンと騎士企画】一部キャラクターをお借りしています。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
このあと、ミシェルちゃんにチェスの相手をさせて、ヴァレリー様に挑ませたりとか、そんな妄想をしていました。&lt;br /&gt;
ミシェルちゃんかわいいｐｒｐｒ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E4%BC%81%E7%94%BB/%E6%8D%95%E8%99%9C%E7%A7%BB%E9%80%81</link> 
    </item>
    <item>
      <title>memoirs  of　clovis elrond</title>
      <description>　天の底が抜けたのではないかと思うほど激しい雨が、鉄格子を打ち付けている。僅かな隙間から空を仰げば暗雲が立ち込め、時折青白い稲光が閃いていた。 　&lt;br /&gt;
　アグリア騎士団の牢獄には何度も出入りしているが、自らが入ったのは初めてのことだ。薄暗い牢の中に明かりはなく、唯一の灯は、回廊の燭台のみ。雨漏りが酷く、そこここに雫が垂れてくる。石造りの牢内には湿った空気が立ち込めていて、不快だ。&lt;br /&gt;
　上官を告発してから三日。およそ清潔とは言えないようなこの場所でやることと言えば、腹筋か腕立て伏せ、もしくは逆立ちでの懸垂くらいである。正直、暇を持て余している。ヴァレリーに頼んで、酒でも持ってきてもらえばよかっただろうか。いや、彼はこんな場所には寄りつくはずもない。私が女ならば、頼めば喜んで酒でも何でも持ってきたかもしれないが。（あいつは今頃、ドラゴンの背中の上で青ざめた顔でいるのだろう。奴は、ドラゴンに乗らない方が確実に強いと思う。） 　&lt;br /&gt;
　幸い、この手帳だけは没収されずに済んだ。身元を改めたのがバルトサール卿で助かった。碌に体も触らずに、得物だけ取り上げて牢に押し込められた時は、その適当さにむしろ呆れた。もしクラウディア殿であったら、きっとこうはいかなかっただろう。 　&lt;br /&gt;
　私は明朝、公の場で裁かれる。そこで私の処遇は決定されることだろう。&lt;br /&gt;
　どんな処罰だろうが、ヴィオラを無為に喪ったこと以上の絶望はないだろう。そう考えると、不思議と心は凪いで、今はとても穏やかな気持ちだ。あの時はあれほど、憎くて、殺してやりたくてたまらなかった上官殿だが、今となってはあの豚野郎がどうなろうと関係ないとさえ思えてくる。 　許したわけではない。絶対に許さない。&lt;br /&gt;
　公の場であの豚野郎の罪を全て晒してやるつもりだ。 　&lt;br /&gt;
　法廷に立つその前に、ありのままを綴っておきたい。誰でもいい、この手記を読んだ貴方に、あの時の作戦の全容を、包み隠さず伝えよう。願わくば、もう二度と、このようなことが起こらないことを切に願って。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　自分で言うのもおかしなものだが、騎士団に入団した当初より、私は期待の新人として、周囲からもてはやされていた。代々エルロンド家は多くの騎士を排出し、兄も父も私も、例に洩れずに騎士となった。兄は医療班の部隊長、父は騎士長を務めるほど、実力も兼ね備えている。 　&lt;br /&gt;
　一方で私は、十六で騎士団に入団し、次の年には中級騎士に昇格していた。彗星の如き速さで昇格したレダやヴァレリーほどではないが、私も順調に、輝かしい出世の道を歩んでいた。 　中級騎士になるやいなや、幼いころより共に育った、ヴィオラをパートナーに、私は幾多もの戦場を駆けた。ヴィオラはとても賢いドラゴンで、一を言えば十を理解してくれた。もはや、半身とも呼ぶべき存在であったかもしれない。陽気な子で、私がヴァイオリンを弾くと、よくそれに合わせて唄を歌っていたな。&lt;br /&gt;
――ドラゴンは道具、その考えは間違ってはいないのかもしれない。確かにドラゴンは強力な兵器である。しかし生死の境をともに行くパートナーが、ただの道具であるはずはない。アグリアの考えに疑問はあれど、実力を認められるこの国において、私は特に不満を持っていなかった。ただ、ドラゴンの扱いに関しては、意見が多少食い違っただけのこと&amp;hellip;&amp;hellip;。声に出して言うべきことでもないと考えていた―― 　&lt;br /&gt;
　ヴィオラは、アグリア騎士団の中で最速飛行を誇るドラゴンだった。その翼で、私は何度もイグニアへ強襲した。 　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私の功績をどこかで聞きつけた、ぶくぶくと肥えた豚のようなあのクソ上官が、声を掛けてきたのはいつだったか。 　&lt;br /&gt;
　そう、丁度、上級騎士への昇格の話が持ち上がっていた時のことだった。&lt;br /&gt;
　奴は奇襲部隊の隊長を務めていた。そんな重たい体で、どうやって奇襲するのか謎だったが、元々、狡猾で卑怯な作戦ばかりを立案し、正面からの激突は極力避けたがるような奴だった。それを否定するつもりはないが、私は奴が嫌いだ。自分は決して前線に出ることはせず、指揮は遠く離れた陣地から、伝令を飛ばして伝える。私もよく、ヴィオラの速さを買われ、伝令に使われたことがあるが、とにかく、全てが胸糞悪かった。自分の失敗をよく部下に擦り付け、それで上手く手柄を立て、這い上がってきたという噂だ。&lt;br /&gt;
　　しかも奴は、騎士ではなく、対竜矢に毒を塗り、それでドラゴンを狙わせ翼を折り、地面に叩きつけるといった作戦を好んで使用していた。弓もそれなりに扱うことのできる私も、その作戦に駆り出されたが、到底気分の良いものではなかった。上空から落ちた騎士は大抵が死亡するか、再起不能の重傷を負うかのどちらかであろう。中には、奇跡的に助かる猛者もいるかもしれないが、それはほんの一握りの、奇跡を掴んだ者たちだ。 　&lt;br /&gt;
　だが、中級騎士の私に、部隊を好きに選べる権利などない。元々別の隊に所属していたが、突如、奴の部隊へ引き抜かれたのだ。&lt;br /&gt;
　そんな部隊長殿に、ある日自室に呼び出される。夏真っ盛りであるにも拘わらず、窓もカーテンも閉め切られていることに違和感を感じた。巨体には汗が滲み、部屋の中は異様なほどの湿気と熱気に包まれていた。私はアグリアの騎士団服のデザインを大変気に入っているのだが、目の前の上官殿は、はち切れて裸になるのではないかと心配するほど、ぱっつんとした団服を着ていた。豚は何を着ても、所詮は豚だ。&lt;br /&gt;
　私は暑苦しさに思わず襟元を緩め、苦い顔をした。しかしそんな私のサインにも特に気付かず、――どれだけ鈍いのか、と鼻で笑ってしまった――部隊長殿は妙に重々しく切り出した。&lt;br /&gt;
「君に重要な任務を与える。説明が終わり次第、直ちに作戦を開始せよ。なお、これは騎士団でも最重要事項の、極秘の任務だ。決して口外はしないように」&lt;br /&gt;
「はっ」&lt;br /&gt;
　従順に返す私に、奴は満足げに頷いた。&lt;br /&gt;
「よろしい。では任務の概要を説明する。これを見たまえ」 　&lt;br /&gt;
　そう言って、奴は机上に、一枚の紙を広げた。 　鼻下から伸びた髭を撫でつけて、何をもったいぶらせて出すのかと思えば。&lt;br /&gt;
&amp;nbsp;　イグニアとアグリア、そこを隔てるように聳える霊峰フィアフィル。イスタール島の地図だった。その地図上に、赤い丸で印がされている。その印がされている地点は、イスタールでも有数の湿地帯であった。滅多なことで人が踏み入ることのない場所に、一体何の任務があるというのか、その時の私には見当もつかなかった。 　言われるがままに、広げられた地図を見る。奴は、地図の印を指さしながら、説明を始めた。&lt;br /&gt;
&amp;nbsp;「今回の任務は、物資の回収だ。この付近に、目的の物資が隔離されている廃墟がある。丁度、湿地帯の中央から南に走るこの辺りだ。ここへ到達するまでの間に、イグニア騎士団との遭遇も予測されるが、できる限り戦闘は控え、物資の回収、及び運搬を最優先事項とせよ。回収した物資は、直ちにこの拠点に届けるのだ。目標物は、両手で抱えられるほどの大きさの、丸い容器だ。途中、決して敵側に渡してはならない。無用な刺激も加えてはならない」&lt;br /&gt;
　そのような場所に、廃墟があるなど初めて聞いたが。 　&lt;br /&gt;
　そもそも、この時は、別の拠点でイグニア軍との激戦が繰り広げられていた。イグニアの砦を攻めたは良いが、得意の持久戦に持ち込まれたのだ。長らく膠着状態が続いていたが、夜間、本隊へ奇襲を掛けられ状況は一転、不利な状況に追い込まれつつあった。戦闘狂のバルトサール卿がいてあの状況だ。相当、厳しいのだろう。 　悠長に物資の回収などしている場合なのか、それとも、その物資が戦況を左右する重要なものであるのか&amp;hellip;&amp;hellip;。所詮、中級騎士の私には分かるはずもないことである。&lt;br /&gt;
　 　私は訝しみながらも、頷いた。&lt;br /&gt;
「この廃墟の辺りには、有害な霧が発生するとの報告もある。現地へ向かう時は、このマスクをしていけ」&lt;br /&gt;
　顔全体が、すっぽりと覆われる、物々しいマスクを渡され、私はますます訳が分からなかった。&lt;br /&gt;
「これが成功したあかつきには、君は晴れて上級騎士だ。そして、私も騎士長への昇格がかかっている。失敗は許されぬぞ」&lt;br /&gt;
　結局この豚野郎は、自らの昇進のことしか考えていなかったらしい。こんな奴の為に働かねばならないのかと思うと、正直気が滅入って仕方なかった。 　しかし、命令である以上、行かねばならない。私は誰にも詳細を告げず、その日の夕刻、暗がりに紛れて飛び立った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヴィオラの飛行能力では、湿地帯まで半日かかった。目的の廃墟を探すのに些か時間がかかったが、それは、湿地帯の緑に包まれ、ひっそりと佇んでいた。想像していたよりも大きな施設だ。長らく人が踏みいっていないのか、廃墟の入口は蔦がびっしりと絡みつき、ヴィオラのブレスでなければ払えなかった。 　&lt;br /&gt;
　ヴィオラを外で待機させ、薄暗い廃墟をカンテラ片手に進み、私はその異様さに、次第に吐き気を覚えた。息苦しいマスクのせいもあったかもしれない。 　&lt;br /&gt;
　最初は、放棄された拠点だろうと考えていた。しかし、中に入り込むたびその可能性は棄却される。&lt;br /&gt;
　床に転がるフラスコ、割れた試験管。飛び散った硝子の破片。それから、古い血痕が天井と壁にこびりついている。扉をひとつひとつあけ、部屋を確認していく度に、ドラゴンの四肢、頭部、胴体、そしてドラゴンのミイラがそれぞれ見つかった。&lt;br /&gt;
　最後の部屋の扉に辿りつく頃には、この施設が何かの研究所であったのだという確信を持っていた。 　&lt;br /&gt;
　ただ、何の施設かは知らない。ドラゴンの死骸があることから、ドラゴンの生態の研究をしていたのだろうと、私は漠然と予測していた。 　そして、私は、遂に最後の部屋の扉を開いた。 　私は思わず、眩しさに目を眇めた。 　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　そこは、今までの景色とは打って変わって、実に清潔な部屋であった。壁と床は白一色、あちこち散乱し、崩壊しかけていた同じ廃墟の中とは思えないほど、整理整頓されている。 　&lt;br /&gt;
　誰かが出入りしたのか？ 　&lt;br /&gt;
　いや、入口に絡まった蔦は、一日二日で生えるようなものでもない。私以外の足跡も見つからなかったし、扉は全て、埃をかぶったままだった。そうなると、この部屋のみ、清潔さを維持できるような何か特別な仕掛けでもあるのだろうか？ 　&lt;br /&gt;
疑問を抱きつつも、私は部屋の中央に安置されていた、目標物を確認すると、そっとそれを持ち上げた。 　&lt;br /&gt;
　驚くほど軽い。 　&lt;br /&gt;
　中に何が入っているのかわからないが、これを慎重に運ぶことが、与えられた任務だ。 　&lt;br /&gt;
　私はその物資を外に運び出し、ヴィオラに乗ってすぐさま指定された拠点へと急いだ。何故かヴィオラは、元気がない様子だったが、それも連続飛行の疲れのせいだろうと判断し、私はそのままヴィオラを飛ばせた。 　&lt;br /&gt;
　空から望む戦場は、一進一退の攻防を繰り返していた。長期の戦いのためか、両陣営も疲労が色濃くうかがえる。特に、回復の手段が限られるアグリアでは、どの隊も動きが鈍ってきていた。遠目に見ても敗戦濃厚であるにも拘わらず、引こうとしない自陣を怪訝に思いながら、ヴィオラに降りるよう指示を出す。 　&lt;br /&gt;
　いつものような着地はできず、ヴィオラは半ば、地面に衝突するような形で着地した。さすがの異変に私も気付いたが、今は任務が最優先である。私は、目標物を拠点に運んだ。&lt;br /&gt;
　待っていたのは不機嫌そうな顔で、椅子に踏ん反り返る部隊長殿だった。状況が思わしくないことに、苛立っていたのだろう。&lt;br /&gt;
&amp;nbsp;「御苦労だったな。それを渡せ」 　&lt;br /&gt;
　言われなくてもそうするつもりだ。一々喚くな耳触りだ。心の中で罵倒して、顔は何とか笑みを張り付けたまま引き渡す。　 　一体何が入っているというのか、隊長殿はその物資をいたく大切そうに抱えると、投石器にそれを嵌めこんだ。&lt;br /&gt;
「ドラゴンさえやれば、こっちの勝ちなのだ！」&lt;br /&gt;
「何を&amp;hellip;&amp;hellip;？」 　&lt;br /&gt;
　不気味に笑う隊長殿を、私は止めることができなかった。もはや敗戦が決まったも同然のこの状況で、一体何をするというのか。 　私は、止めるべきだと思った。この豚野郎が何をしようとしているのかわからないが、余計に事態を悪化させるような気がしたのだ。&lt;br /&gt;
「ここは、一旦引いて、態勢を立て直すべきなのでは。ドラゴンも、兵も疲弊している様子。イグニア相手に持久戦を挑むなど、自殺行為です。水辺に囲まれたあの砦を攻略するのは、今の編隊状況では難しいのではありませんか？」&lt;br /&gt;
　私の進言を、隊長殿は鼻で笑った。　&lt;br /&gt;
「そうか、ではエルロンド。君が伝令に行きたまえ。一旦、兵を引けとな」&lt;br /&gt;
「&amp;hellip;&amp;hellip;はっ」&lt;br /&gt;
　進言を受け入れられたにも拘わらず、私は嫌な予感がした。あの態度は何だ。物資を手に入れてから、何故そうも強気でいられる？ 　&lt;br /&gt;
　胸騒ぎを感じながらも、上官の命には逆らえない。私は、どこかぐったりとしているヴィオラを起こし、もう一度飛　ぶように命じた。 　&lt;br /&gt;
　ヴィオラは、私の言葉に応えようと、大きな翼を広げるが、いつものように力強く飛ぶことはできなかった。ふらふらと、あちこち蛇行し、何とか戦場に辿りつく。&lt;br /&gt;
　その時だった。自陣から、地の底から響くような声が上がる。&lt;br /&gt;
「今ここで攻めねば、いつ攻めるというのだ！」 　&lt;br /&gt;
　その声と同時に、ヴィオラの頭上に、何かが弧を描いて飛んできた。&lt;br /&gt;
　そして、それは丁度両陣営の真ん中辺りに落下し、ぱっくりと二つに割れ、霧状のものがぱあっと辺り一帯に広まった。 　そこからは、まさに地獄のようであった。 　ドラゴン達が、一斉に苦しみのたうちまわりだしたのだ。騎乗していた騎士も巻き込まれ、ドラゴンの近くにいた兵士も巻き添えを食い、ぺしゃりと潰された。そこらじゅうで血だまりができ、血の雨が降りそそいだ。&lt;br /&gt;
　仲間も、敵も、関係なかった。 　&lt;br /&gt;
　ただただ、ドラゴンが苦しみ、その周囲にあるもの全てが、死んだ。 　そして、その上空にいたヴィオラも、「安全な場所に運ぶまで、絶対に力尽きませぬ」と、弱々しく羽ばたくが、ついにそのまま私を庇うようにして、地に落ちた。 　&lt;br /&gt;
　私には、何が起こったのかわからなかった。 　&lt;br /&gt;
　分かることと言えば、何故か伝令に行ったはずの私とヴィオラを無視し、部隊長殿が攻撃を仕掛けたということ。その攻撃によって、ドラゴンが死んでいくということ。 　&lt;br /&gt;
　あの物資は、対竜用の兵器だったのだ。&lt;br /&gt;
　死屍累々の状況下にも拘わらず、あの部隊長殿はこう命じられた。&lt;br /&gt;
「今こそ反撃の時だ！　進めぇ！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヴィオラの亡骸の側で茫然としていた私は、奴の怒声で現実へと意識を呼びもどした。&lt;br /&gt;
　ヴィオラが死んだ。 「我々の勝利は目前だ！」 　すぐそこには、馬鹿なことを喚いている豚がいる。立てる兵士など、もはやいない。この地獄の中で立ち上がるものは、修羅か何かだろう。　 　&lt;br /&gt;
――ヴィオラ？&lt;br /&gt;
　声にならない声で、私は半身の名前を呼んだ。返事など、あるはずもない。 　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
何のために、ヴィオラは死んだのだろう。 　どうみても、負け戦。 　しかし滑稽なことに、勝利を歌う豚が一匹。 　&lt;br /&gt;
　私は、よろよろと立ちあがると、渾身の力を込めて、部隊長殿の腹を蹴っ飛ばした。巨体があり得ないほど飛び、そのまま地面に這いつくばる。&lt;br /&gt;
「貴様！　誰に向って&amp;hellip;&amp;hellip;！」&lt;br /&gt;
「黙れ、豚野郎。誰が口を開いていいと言いましたか。家畜の分際で。上官殿はそうやって、泥に塗れているのがお似合いですよ」&lt;br /&gt;
　私は奴の脂ぎった顔を、思いっきり蹴っ飛ばした。奴の顎が外れる音がする。&lt;br /&gt;
「貴様も、貴様のドラゴンも所詮、捨て駒の分際で何を！　私の勝利の為の駒が！　こんなことをして許されると思っているのか！」 　&lt;br /&gt;
耳触りだった。早く黙らせたくて、もう一度、奴の顔を蹴っ飛ばした。&lt;br /&gt;
「上官殿はいつか、所詮、捨て駒と侮ったドラゴンに食まれて、死んでいけばいい。貴方の存在は毒ガスなどよりもよほど悪辣だ。貴方が息をする分だけ、空気が穢れる」 　&lt;br /&gt;
私はにっこりと笑ってやると、奴の頭を踏みつけた。&lt;br /&gt;
「勝利のために捨て駒であれというのであれば、貴殿の方こそ国のために、死ぬべきでしょうね。実力主義のこの国で、貴殿のような豚が息をしているだけで、不快です」 　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私は、今回の作戦について騎士長に御報告申し上げた。しかし騎士長は渋い顔をされるのみで、私が望む回答は得られなかった。 　あの研究所については、まさに極秘扱いであったため、今回の件を公にするわけにはいかないという。 　ふざけている。 　あのレダでさえ、勝利のための捨て駒ならば、仕方ないと意見した。 　私の絶望感は、誰にもわからないだろう。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヴィオラ。私の天使に出会った。この子だけは、アリアだけは絶対に、守ってみせる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
【ドラゴンと騎士企画】　一部キャラクターをお借りしています。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E4%BC%81%E7%94%BB/memoirs%20%20of%E3%80%80clovis%20elrond</link> 
    </item>
    <item>
      <title>神狩り　７章開始</title>
      <description>更新しました。&lt;a href=&quot;http://ncode.syosetu.com/n6782d/&quot;&gt;http://ncode.syosetu.com/n6782d/&lt;/a&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ようやくここまできました。長かったですね。&lt;br /&gt;
さて、今回より月読様大活躍になります。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
というか、月読と薫くんの攻防、そして月読としての年月に勝てずに、薫としての自我を少しずつ失っていくっていうのが正直今回のメインだったりします。その過程で海鶴が被害にあってしまうわけですよ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
薫は海鶴の事が好きです。&lt;br /&gt;
月読様も、同じ時間を共有し、薫と心を共有しているために、海鶴の事が大好きです。ですが月読様の愛情は相当歪んでいるために、同じ愛でも普通の愛とかないわけですよ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
嫌いな奴はとりあえずぶち殺す。気に入らない奴もとりあえずぶち殺す。夢見の巫女を目覚めさせる（夢の中でぶち殺す）お仕事も、喜んでやる。とりあえず、命を奪うことに快楽を覚えている狂人。&lt;br /&gt;
好きな奴はとりあえず近くにおいて溺愛、他に目を向けようものならそく監禁。&lt;br /&gt;
過去、何人もそれで巫女を孕ませていますが、自分は束縛されるのを嫌っているので、全部あれです。口にするべきではないことを胎児へ行ったりしています。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
なんていうか、どうしてこんなに極端なんだこいつ。&lt;br /&gt;
&lt;img alt=&quot;kaoru.jpg&quot; src=&quot;http://file.yamiyunatype.blog.shinobi.jp/kaoru.jpg&quot; style=&quot;border-width: 0px; border-style: solid; width: 240px; height: 295px; float: left;&quot; /&gt;&lt;br /&gt;
かつてかみおさまにいただいた映像を張っておきます。これは、薫イメージで描いてもらったわけですが、多分月読様は同じお顔だけどそうとういってると思うんだよね。薫くんはあんなに純朴な良い少年だったのに、何を間違ってそうなったんだよ月読。まったく、大人げないぞ☆&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
しかし、マジでまともな人が周りにいなくて可哀想な海鶴である。薄幸の美少女ｐｒｐｒ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
神狩りは大体、９～１０章くらいで終わらせようと思っているので、もう少しです。がんばります。&lt;div style=&quot;clear:both&quot;&gt;&lt;/div&gt;</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E9%96%A2%E9%80%A3/%E7%A5%9E%E7%8B%A9%E3%82%8A%E3%80%80%EF%BC%97%E7%AB%A0%E9%96%8B%E5%A7%8B</link> 
    </item>
    <item>
      <title>ルイリ×海鶴</title>
      <description>今日は私の大事な友人と紫羽様のお誕生日ということで、紫羽様のリクエストにお答えしてやらかしてみようと思います（笑）&lt;br /&gt;
どこまでルイリ嬢のイメージを壊さずにできるか分かりませんけれど。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;u&gt;ルイリ嬢&amp;times;海鶴　夢の対談&lt;/u&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
目を覚ますと、そこは見知らぬ空間だった。咲き誇る色とりどりの花。それから美しい緑の庭。見知らぬ大輪の華は、異国情緒あふれて目を引く。&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
彼女は確かに、唄に惹かれてきた。&lt;br /&gt;
耳に慣れぬ言葉であったが、水晶を転がすような涼やかで、闇夜を優しく照らす淡い月光のように美しい唄は、天を震わせ海鶴の心を掴んで離さなかった。&lt;br /&gt;
じっと、庭を見渡す。辺りに人影はない。&lt;br /&gt;
ここではなかったのか。見知らぬ土地で、迷ったのか。しかし戻り方も海鶴には分からない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
「どうしたの？　迷子？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
水晶の鈴が、転がるような音がした。&lt;br /&gt;
海鶴は、はっと顔を上げる。&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
息を呑むほど儚く美しい少女が、この身を案じるように手を差し伸べていた。&lt;br /&gt;
一目見ただけで、身分の高い方であると海鶴は判断した。&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
あまり見たことのない着物である。広がった裾がひらひらと風に舞ってともすれば脚が見えてしまいそうだ。&lt;br /&gt;
触れれば消えてしまうのでは、そんな畏れから、海鶴は差し伸べられた白い手を、ただ凝視するのみで取ろうとはしなかった。&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
警戒心を強め、怯える獣に見えただろうか。彼女は困ったように微笑みを浮かべ、首を傾げた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「私の言葉は、分かるかしら？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
彼女が声を発する度に、空気が震え、華は色づく。&lt;br /&gt;
海鶴は、頬を染めて頷いた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「分かります」&lt;br /&gt;
「良かった」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ほっとして微笑む姿は女神のようで。海鶴はほうっとそんな笑顔に見惚れた。&lt;br /&gt;
きっと、自分よりも年上であろう少女であるが、何故こんなに庇護欲をかきたてられるのだろうか。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「私はルイリ。あなたは？」&lt;br /&gt;
「海鶴と申します」&lt;br /&gt;
「ミツル&amp;hellip;&amp;hellip;聴きなれない名前ね」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
海鶴は、るいり、と小さく復唱した。&lt;br /&gt;
るいりとおっしゃるのか。美しい響きの名前だ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「でも、まだ小さいのにしっかりしているのね」&lt;br /&gt;
「はあ&amp;hellip;&amp;hellip;そうでしょうか？」&lt;br /&gt;
「わたしがミツルちゃんくらいの年の時に、迷子になんてなったらきっとわんわん泣いて、お兄さまに助けを求めていたわ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
るいり様はにこにこしながら、海鶴の髪を撫でる。&lt;br /&gt;
優しい手つきに海鶴はどきどきした。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「お兄さまがいらっしゃるのですか？」&lt;br /&gt;
「とっても優しくて、素敵なお兄さまよ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
はにかむように語られるるいり様は、本当にお美しい。同性ながら、海鶴は高鳴る鼓動を押さえられなかった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「羨ましい限りです。私の兄達ときたら、私を山猿呼ばわりするのですよ」&lt;br /&gt;
「まあ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
こんなに可愛いのに&amp;hellip;と呟かれるるいり様であったが、海鶴は頭をふる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「可愛さのかけらもない妹を、揶揄してそう呼ぶのでしょう。当たっているので私も敢えて何も言いません」&lt;br /&gt;
「本当にそうなのかしら&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
「私は兄達にとって恥ずべき妹なものですから。祭事の時も、私の失敗を間近にして指をさして嗤うくらいですから。わざわざぼろい屋敷を用意させ、そこに私を追いやったのも兄たちです」&lt;br /&gt;
「ミツルちゃんは愛されているのね」&lt;br /&gt;
「&amp;hellip;&amp;hellip;そうなのだとしたら、気色悪いにもほどがあるわ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ぼそりと呟けば、るいり様は大輪が咲くように、顔をほころばせた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「そんな風に言わないであげて。こんなに可愛い妹を前にしたら、うまく言葉がでないのよ」&lt;br /&gt;
「まさかそんなこと&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
あるわけがない。あの兄たちに限って。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「わたしの兄も、大概心配性なの。大丈夫だって言っているのにね。あの人については殊更、信用がないの」&lt;br /&gt;
「それは、るいり様はこんなにお美しくて儚げで、守って差し上げなければならないからですよ！　変な虫がついては大変ですから」&lt;br /&gt;
「虫って&amp;hellip;&amp;hellip;。大丈夫よ。虫はただ、甘い香りに寄ってくるだけで、害はないもの」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
確かにるいり様は良い香りがする。甘くて、優しい香りだ。しかし彼女のいう虫と、海鶴の思う虫は多分違う。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「そういう虫ではありませんよ、るいり様」&lt;br /&gt;
「？」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
わかっていなそうなるいり様に、どう説明していいのか分からず、海鶴は黙り込んだ。&lt;br /&gt;
実に心配である。このような儚げな少女に、変な男が寄りつかないようお兄さまとやらにはしっかりしていただかなくてはならない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「そういえば、お兄さまたちとは、いくつ離れているの？」&lt;br /&gt;
「一番上とは十、年の近い兄とは五つ離れています。今年で十五になる妹に、いつまでも口出しするのはやめていただきたいものです」&lt;br /&gt;
「え&amp;hellip;&amp;hellip;！」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
海鶴の言葉に、るいり様は固まった。小首を傾げ彼女の横顔を伺う。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「どうされたのですか？」&lt;br /&gt;
「十五歳？」&lt;br /&gt;
「はい」&lt;br /&gt;
「てっきり&amp;hellip;&amp;hellip;まだ十歳くらいだと思っていたわ。まさか、わたしと二つしか違わないだなんて&amp;hellip;&amp;hellip;」&lt;br /&gt;
「そこまで幼く見えましたか」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
海鶴は肩を落とした。確かに、目の前の美しい少女と見比べれば、見劣りするだろう。体つきも貧相で、子どもに見えてもおかしくはないが、実年齢より五つも下に見られるとは。&lt;br /&gt;
るいり様は、落ち込む海鶴に、慌てて付け加える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「でも、可愛いもの。十歳だって十五歳だって、ミツルちゃんたいして変わらないわ」&lt;br /&gt;
「&amp;hellip;&amp;hellip;変わらないですか。そうですよね」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
それはそれで哀しいのだ。十でも十五でも大差ないなど、成長の隙もない。&lt;br /&gt;
十七になっても、きっとるいり様のように美しくなれないことは分かっているが、彼女のようにたおやかで、穏やかな女性に憧れる。&lt;br /&gt;
世の殿方はいつでも、庇護欲をかきたてられる女性が好みだ。&lt;br /&gt;
海鶴のような破天荒な娘は、いつの世も身請けの先もない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「だから私はいつまでたっても誰からも子ども扱いされ、幼馴染からも全く相手にされないのです」&lt;br /&gt;
「違うわ。可愛いからつい子ども扱いしてしまうのよ」&lt;br /&gt;
「それが嫌です」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ぷうっと頬を膨らませ、ふいっと顔を背ければるいり様はまた笑われた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「ミツルちゃんは幼馴染に恋しているのね」&lt;br /&gt;
「どうでしょうか。恋、というか。心配で放っておけなかったというか&amp;hellip;&amp;hellip;。ぼんやりしているようでいて、時々鋭いことを言ってみたり。無神経なようでいて、細かいところに気付いていたり。振り回されてばかりの、い、いやな奴です」&lt;br /&gt;
「大好きなのね、その人のことが」&lt;br /&gt;
「ち、ちがっ！　家族みたいなものだからっ。弟みたいっていうか、弟分みたいっていうか&amp;hellip;&amp;hellip;。その、ただ、いつも何も写していない目に、色んなものを見せてあげたかったし。私の見る世界を、奴に見せつけたかったっていうかですね」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
何を言っているのか分からず、海鶴は口をつぐむ。&lt;br /&gt;
るいり様はそっと長い睫毛を伏せた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「わたしもね。あの方の痛みを、分かち合いたいと思っているわ。そうね、放っておけば、何をするか分からない危うさに、心配で目が離せなくて。彼は、生き急いでいるの。分からないんだけど、許してほしいと思っているの。けれど絶対に弱みを見せてくれない。わたしは、多分それがとても心配なのだわ。&lt;br /&gt;
分かってほしいなんて言った覚えはないと言われそうだけど、わたしはあの方を今なお捕える闇から、すくって差し上げたいの」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
どなたのことを言っているのか分からないが、るいり様も気になるお方がいるのだろう。&lt;br /&gt;
海鶴は、その方がるいり様に早く救われることを願った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
遠くで、呼び声が聞こえた。&lt;br /&gt;
るいり様が振り返るのと同時に、海鶴の身体は彼方の空間へと引き寄せられて、やがて粒子となって消えた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
おわれ。</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E9%96%A2%E9%80%A3/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%AA%C3%97%E6%B5%B7%E9%B6%B4</link> 
    </item>
    <item>
      <title>長らく放置すみません。</title>
      <description>一応、稼働しています。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
『小説家になろう』の方で連載させてもらっていた、『悪戯なチェリー☆』がようやく、本編完結しました。色々広がりすぎたけど、割とこじんまりと甘く終わった感があります。できれば番外編やらちょっとした続編やらを書いてみたいとは思っていますが、もうしばらくこのお話は放置しておきたい。何故ならば、今やっている連載で割と手一杯だからです。&lt;br /&gt;
ここでお礼を申し上げたいと思います。拍手で大学編をご希望してくださり、ありがとうございました。余力があれば書きますね。私もあの子たちは愛おしいですし、紫がこのままでおしまいっていうのも悲しい。&lt;br /&gt;
余裕があればやりたいです、いい息抜きになりますしね。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ただ、思うように進まないのはなかなかフラストレーションが溜まります。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
それに、反応が薄いとやる気も薄くなります。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
モチベーションを維持できればいいんですがね（笑）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
たまには創作屋としてのブログらしく、ちょっと『&lt;a href=&quot;http://ncode.syosetu.com/n4818r/&quot;&gt;マリアベルの迷宮&lt;/a&gt;』について語ります。いや、創作全般について？&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
国の設定とかを考えるのが、楽しくて仕方ない今日この頃です。&lt;br /&gt;
一体だれがそんな喜んで、国の設定なんて知りたがるんだって思うんだけど、一番喜んで知りたがってるんだよ、私がね！&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
でも、面白い作品で結構緻密に国の設定してあるんですよね。例えば、『小説家になろう』だと、小田マキ様のアイリスの剣や&lt;a href=&quot;http://ncode.syosetu.com/n7737t/&quot;&gt;ファーランドの聖女&lt;/a&gt;これらは共通の世界観があるものですが、雰囲気は真逆だと思う。でも、どっちも素敵。ファーランドの主人公はナメクジ女ことアムリット姫ですが、彼女の性格がとても素敵なのです。ブルーデンス嬢も好きだったけど、私はどっちかというとアムリット嬢派かな。&lt;br /&gt;
話が逸れました。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
とにかく、面白い作品ほど世界観はしっかりしていると思います。というか、そうあるべきなんだろうなと思う。&lt;br /&gt;
本当は、時間の概念も、星も太陽も月も、全てが全て違うわけですよね。むしろ、太陽（ＳＵＮ）、月（ＭＯＯＮ）は地球から見た星の名前であり、月なんて地球唯一の衛星なわけじゃないですか。だから異世界に月があるのは本当はおかしいと思うんですよね。地球の衛星が異世界にあるの？ってなる。むしろ、その世界には衛星なんてないのかもしれない、けれど必ず、月は出てきますよね。（必ずじゃないか&amp;hellip;汗）&lt;br /&gt;
そこがなんというか、不思議なところ。もちろん、私の作品にも必ず太陽も月もでてくる。やっぱり一番想像しやすいものだし、代替となるものに置き換えてもいちいち説明しなくちゃいけない。その点、普遍的なものってのは言葉で一言言ってしまえば、いくらでも想像してもらえますものね。&lt;br /&gt;
だからと言って、簡単にファンタジーの世界に現代社会で氾濫している和製英語だとか、カタカナを多様するのははばかられますが。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
今思えば、『&lt;a href=&quot;http://ncode.syosetu.com/n6782d/&quot;&gt;神狩り&lt;/a&gt;』も和風ファンタジーとは言っているものの、言葉づかいやら何やら全く和風でない上、どこが神話に準えているのかと頭をひねりたくなるできです。以前、拍手で『なんちゃって和風ファンタジーでものたりなかった』とコメントされたことがありますが、なるほど、確かになんちゃってですね。&lt;br /&gt;
中途半端なのは、多分一番つまらないんだと思います。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
今まで漠然としか考えてなかったけど、文化文明、思想とか、そういうのありきの世界ですよね、やっぱり。&lt;br /&gt;
どうしても自分の常識を基準にしちゃいますが、それだとやっぱり偏りますね。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
マリアベルの迷宮は、月の下で君を喚ぶの裏の物語に位置づけられるものだと思っています。&lt;br /&gt;
竜の帰還の主人公は白竜であるスピカです。マリアベルはあらゆる面において、スピカとは対なす存在だと思います。意図してやったわけではないのですが、気付けばそういう構図になっていました。というか、そんなような気がするんです。&lt;br /&gt;
そして、物語自体対をなしています。（そんな気がする）&lt;br /&gt;
マリアベルの迷宮の主人公は、レグルスという人物ですが、彼はスピカとは縁の深い人です。読めば分かると思いますが、彼らのアレは対になっています。そして、彼はヒーローであるシリウスとも対になっています。&lt;br /&gt;
シリウスは最初こそ冷淡でしたが、内面は情深いです。&lt;br /&gt;
対するレグルスですが、表面は愛情を持って接しているように見せかけて、内面は冷えています。というか、彼はその境遇から全てを諦めていました。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
そのレグルスが、マリアベルには何故惹かれるのかといいますと&amp;hellip;&amp;hellip;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
マリアベルが彼とちゃんと向き合ってくれるからなんですよね。（そうだったのか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
今まで誰も、彼に向き合ってこなかった。自分でさえも自分に向き合わなかった。だから彼はいつまでも子どもでしたが、マリアベルという人物に出会ったことで、恐らくレグルスは本当の意味で大人になってゆくんだと思います。&lt;br /&gt;
（そういう話だったのか&amp;hellip;）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
書いていくと、色々気付くこともあるようです。&lt;br /&gt;
まさか、こんなところ覗いているような暇な方はそうそういないと思いますので、多大なネタばれをしてしまったような気がしなくもないですが、自分の考えを整理できたという点ではよかったのかもしれない。</description> 
      <link>https://yamiyunatype.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E9%96%A2%E9%80%A3/%E9%95%B7%E3%82%89%E3%81%8F%E6%94%BE%E7%BD%AE%E3%81%99%E3%81%BF%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82</link> 
    </item>

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