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since 2008/9/17 ネットの片隅で妄想全開の小説を書いています。ファンタジー大好き、頭の中までファンタジーな残念な人妻。 荻原規子、上橋菜穂子、小野不由美 ←わたしの神様。 『小説家になろう』というサイトで主に活動中(時々休業することもある) 連載中:『神狩り』→和風ファンタジー 連載中:『マリアベルの迷宮』→異世界ファンタジー 連載中:『お探しの聖女は見つかりませんでした。』→R18 恋愛ファンタジー 完結済:『悪戯なチェリー☆』→恋愛(現代) 完結済:『花冠の誓いを』→童話 完結済:『変態至上主義!』→コメディー
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別の世界に旅立っちゃうんだぜ

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今日は私の大事な友人と紫羽様のお誕生日ということで、紫羽様のリクエストにお答えしてやらかしてみようと思います(笑)
どこまでルイリ嬢のイメージを壊さずにできるか分かりませんけれど。


ルイリ嬢×海鶴 夢の対談

目を覚ますと、そこは見知らぬ空間だった。咲き誇る色とりどりの花。それから美しい緑の庭。見知らぬ大輪の華は、異国情緒あふれて目を引く。
 
彼女は確かに、唄に惹かれてきた。
耳に慣れぬ言葉であったが、水晶を転がすような涼やかで、闇夜を優しく照らす淡い月光のように美しい唄は、天を震わせ海鶴の心を掴んで離さなかった。
じっと、庭を見渡す。辺りに人影はない。
ここではなかったのか。見知らぬ土地で、迷ったのか。しかし戻り方も海鶴には分からない。

 
 
「どうしたの? 迷子?」

水晶の鈴が、転がるような音がした。
海鶴は、はっと顔を上げる。
 
息を呑むほど儚く美しい少女が、この身を案じるように手を差し伸べていた。
一目見ただけで、身分の高い方であると海鶴は判断した。
 
あまり見たことのない着物である。広がった裾がひらひらと風に舞ってともすれば脚が見えてしまいそうだ。
触れれば消えてしまうのでは、そんな畏れから、海鶴は差し伸べられた白い手を、ただ凝視するのみで取ろうとはしなかった。
 
警戒心を強め、怯える獣に見えただろうか。彼女は困ったように微笑みを浮かべ、首を傾げた。

「私の言葉は、分かるかしら?」

彼女が声を発する度に、空気が震え、華は色づく。
海鶴は、頬を染めて頷いた。

「分かります」
「良かった」

ほっとして微笑む姿は女神のようで。海鶴はほうっとそんな笑顔に見惚れた。
きっと、自分よりも年上であろう少女であるが、何故こんなに庇護欲をかきたてられるのだろうか。

「私はルイリ。あなたは?」
「海鶴と申します」
「ミツル……聴きなれない名前ね」

海鶴は、るいり、と小さく復唱した。
るいりとおっしゃるのか。美しい響きの名前だ。

「でも、まだ小さいのにしっかりしているのね」
「はあ……そうでしょうか?」
「わたしがミツルちゃんくらいの年の時に、迷子になんてなったらきっとわんわん泣いて、お兄さまに助けを求めていたわ」

るいり様はにこにこしながら、海鶴の髪を撫でる。
優しい手つきに海鶴はどきどきした。

「お兄さまがいらっしゃるのですか?」
「とっても優しくて、素敵なお兄さまよ」

はにかむように語られるるいり様は、本当にお美しい。同性ながら、海鶴は高鳴る鼓動を押さえられなかった。

「羨ましい限りです。私の兄達ときたら、私を山猿呼ばわりするのですよ」
「まあ」

こんなに可愛いのに…と呟かれるるいり様であったが、海鶴は頭をふる。

「可愛さのかけらもない妹を、揶揄してそう呼ぶのでしょう。当たっているので私も敢えて何も言いません」
「本当にそうなのかしら……」
「私は兄達にとって恥ずべき妹なものですから。祭事の時も、私の失敗を間近にして指をさして嗤うくらいですから。わざわざぼろい屋敷を用意させ、そこに私を追いやったのも兄たちです」
「ミツルちゃんは愛されているのね」
「……そうなのだとしたら、気色悪いにもほどがあるわ」

ぼそりと呟けば、るいり様は大輪が咲くように、顔をほころばせた。

「そんな風に言わないであげて。こんなに可愛い妹を前にしたら、うまく言葉がでないのよ」
「まさかそんなこと……」

あるわけがない。あの兄たちに限って。

「わたしの兄も、大概心配性なの。大丈夫だって言っているのにね。あの人については殊更、信用がないの」
「それは、るいり様はこんなにお美しくて儚げで、守って差し上げなければならないからですよ! 変な虫がついては大変ですから」
「虫って……。大丈夫よ。虫はただ、甘い香りに寄ってくるだけで、害はないもの」

確かにるいり様は良い香りがする。甘くて、優しい香りだ。しかし彼女のいう虫と、海鶴の思う虫は多分違う。

「そういう虫ではありませんよ、るいり様」
「?」

わかっていなそうなるいり様に、どう説明していいのか分からず、海鶴は黙り込んだ。
実に心配である。このような儚げな少女に、変な男が寄りつかないようお兄さまとやらにはしっかりしていただかなくてはならない。

「そういえば、お兄さまたちとは、いくつ離れているの?」
「一番上とは十、年の近い兄とは五つ離れています。今年で十五になる妹に、いつまでも口出しするのはやめていただきたいものです」
「え……!」

 
海鶴の言葉に、るいり様は固まった。小首を傾げ彼女の横顔を伺う。

「どうされたのですか?」
「十五歳?」
「はい」
「てっきり……まだ十歳くらいだと思っていたわ。まさか、わたしと二つしか違わないだなんて……」
「そこまで幼く見えましたか」

 
海鶴は肩を落とした。確かに、目の前の美しい少女と見比べれば、見劣りするだろう。体つきも貧相で、子どもに見えてもおかしくはないが、実年齢より五つも下に見られるとは。
るいり様は、落ち込む海鶴に、慌てて付け加える。

「でも、可愛いもの。十歳だって十五歳だって、ミツルちゃんたいして変わらないわ」
「……変わらないですか。そうですよね」

それはそれで哀しいのだ。十でも十五でも大差ないなど、成長の隙もない。
十七になっても、きっとるいり様のように美しくなれないことは分かっているが、彼女のようにたおやかで、穏やかな女性に憧れる。
世の殿方はいつでも、庇護欲をかきたてられる女性が好みだ。
海鶴のような破天荒な娘は、いつの世も身請けの先もない。

「だから私はいつまでたっても誰からも子ども扱いされ、幼馴染からも全く相手にされないのです」
「違うわ。可愛いからつい子ども扱いしてしまうのよ」
「それが嫌です」

ぷうっと頬を膨らませ、ふいっと顔を背ければるいり様はまた笑われた。

「ミツルちゃんは幼馴染に恋しているのね」
「どうでしょうか。恋、というか。心配で放っておけなかったというか……。ぼんやりしているようでいて、時々鋭いことを言ってみたり。無神経なようでいて、細かいところに気付いていたり。振り回されてばかりの、い、いやな奴です」
「大好きなのね、その人のことが」
「ち、ちがっ! 家族みたいなものだからっ。弟みたいっていうか、弟分みたいっていうか……。その、ただ、いつも何も写していない目に、色んなものを見せてあげたかったし。私の見る世界を、奴に見せつけたかったっていうかですね」

何を言っているのか分からず、海鶴は口をつぐむ。
るいり様はそっと長い睫毛を伏せた。

「わたしもね。あの方の痛みを、分かち合いたいと思っているわ。そうね、放っておけば、何をするか分からない危うさに、心配で目が離せなくて。彼は、生き急いでいるの。分からないんだけど、許してほしいと思っているの。けれど絶対に弱みを見せてくれない。わたしは、多分それがとても心配なのだわ。
分かってほしいなんて言った覚えはないと言われそうだけど、わたしはあの方を今なお捕える闇から、すくって差し上げたいの」

どなたのことを言っているのか分からないが、るいり様も気になるお方がいるのだろう。
海鶴は、その方がるいり様に早く救われることを願った。

遠くで、呼び声が聞こえた。
るいり様が振り返るのと同時に、海鶴の身体は彼方の空間へと引き寄せられて、やがて粒子となって消えた。


おわれ。
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